日本精工(NSK)は10月末に発表した「盲導犬型ロボット」を、11月9日から始まる国際ロボット展に出展するとした。今回の盲導犬型ロボットは、新開発の外界認識技術と、ガイダンス機能により、階段の位置の検出と形状認識を自律して行い、階段を先導しながら昇降できる四脚車輪型ロボットである。車いすや盲導犬、介護犬の代用などへの応用を可能とし、人間の視覚力をアシストする自律移動ロボットへとつながる技術を目的として開発された。

製品の特徴は、「外界認識用新規アルゴリズム」、「扱いやすいガイダンス機能」、「階段昇降時の安全性の確保」の3点がある。

外界認識用新規アルゴリズムは、距離画像センサより得られた情報を3次元空間における形状・位置・姿勢の情報に変換し、階段の弾数や幅などを認識する機能を持つ。電気通信大学 金森准教授との共同研究によって開発された。これにより、従来は困難であった階段昇降中にも階段の認識が可能となり、登り降り問わずにより安全で安心した階段での歩行が実現したのである。

扱いやすいガイダンス機能とは、要するにインタフェースの使いやすさということだ。角度や長さが稼働するグリップを採用し、下り階段においても使用者の姿勢を安定させたガイダンス動作を行える。また、人の歩行速度に近いスピードでの移動が可能となり、実用化が近づいたというわけだ。

そして階段昇降時の安全性の確保について。階段昇降時は、足先が着地した際に確実な停止を可能にし、また段差部への接触を抑制するセンサを備えており、より確実な歩行で人を安全に先導するようになっている。なお、段差部への接触を抑制するセンサは電気通信大学の下條教授と共同開発を行った。

なお、同社は国際ロボット展に出展して会場でデモを行い、広く市場でのニーズを探るとしている。また、実用化に向けて安全性の機能に月、市場での実地検証も行っていくとした。