ユビキタスは10月19日、Linux/Androidシステムの高速起動ソリューション「Ubiquitous QuickBoot(QB)」のソフトウェア開発キット(SDK)の最新版となる「Ubiquitous QuickBoot Release 1.2(R1.2)」を開発、即日提供を開始したことを発表した。

QuickBootは、独自開発の起動技術ソリューションで、アプリケーション側で使用しているメモリ量に依存せず、電源オフの状態から数秒での高速起動を実現することが可能。同SDKを組み込むことで起動時間の短縮を図ることが可能となり、ユーザーの利便性の向上や、待機電力の低減など付加価値の高い製品の提供を可能とする

R1.2では、「スナップショットイメージの圧縮機能」や「差分アップデート機能」によって、より広範囲の組込機器に導入しやすいように工夫が施された。また、オープンソースソフトウェアを活用できるようにするなど、導入時や運用時の利便性も向上されている。

スナップショットイメージの圧縮機能サポートでは、従来の、システムの起動に必要なメモリ領域のスナップショットイメージを不揮発性ストレージからRAMに復元することで高速起動を実現するというスキームから、スナップショットイメージの格納領域として搭載していたが、このスナップショットイメージの圧縮機能を活用することで必要なストレージ容量を使用メモリ量の約50%前後まで削減することに成功。これにより、ストレージ容量の制限でQBを実装できなかった機器でも導入することが可能になるという。また、圧縮アルゴリズムは、サンプルコードを提供する同梱のLZF、LZMAなどの他、カスタマが所有しているアルゴリズムを含め選択可能だという。

差分アップデート機能のサポートでは、QB導入の際に、Linux/Androidシステムやアプリケーションのアップデートが発生する場合、スナップショットイメージも併せてアップデートする必要があった問題に対し、スナップショットイメージの全面書き換えではなく、新旧2つのスナップショットイメージの差分を抽出し、差分情報のみから新スナップショットイメージを作成するための各種ユーティリティが提供されることにより、開発を行うカスタマは、Linux/Androidシステムのアップデートに必要なバイナリサイズを削減することが可能になるという。

また、オープンソースソフトウェアの活用については、QuickBoot Storage BIOSモジュールのサポートにより、他のソフトウェアモジュールとストレージドライバを完全に分離し、GPLライセンスの適用されているブートローダーなどに含まれるストレージドライバコードを活用してQuickBoot用のストレージドライバを実装することが可能となる機能。これにより、開発工数の短縮が可能になると同社では説明している。

さらに、Android向けに最適化された起動方式(Androidモード)をサポートするオプションパッケージ「Android Pack」もR1.2に対応させており、これにより、Android 2.2およびAndroid 2.3がサポートされた。同社では、今後も最新バージョンへの対応を継続して行っていく方針としている。