STMicroelectronicsと、通信システム、デジタル・メディアおよびデジタル・サービスの主要研究機関であるドイツのFraunhofer Heinrich Hertz Institute(HHI)は、最新の標準規格であるMPEG-DASH規格に準拠した3Dビデオ・レシーバを発表した。

MPEG-DASH規格は、「Dynamic Adaptive Streaming over HTTP(DASH)規格」と呼ばれるもので、3GPPおよびMPEGグループによって発表されたものである。異なるネットワーク・インフラや機器でのブロードバンド・ビデオ・ストリーミング・サービスの普及を容易にし、多数の独自のHTTPストリーミング・プロトコルを1種類のオープンで標準化されたソリューションに置き換えることを目的としている。コンテンツを準備するためのフォーマットや、コンテンツの変換を短時間で効率的に行う。またトリック・モード、多言語字幕やオーディオ・トラック、広告掲載、およびコンテンツ保護を目的とした複数のデジタル著作権管理技術をサポートしているため、ダイナミックでフレキシブルなHTTPストリーミングが可能になるという。

STとHHIが今回発表したソフトウェア・3Dビデオ・レシーバは、このMPEG-DASH規格に準拠しており、ネットワークの状態、機器の能力、さらにユーザの好みに基づき、ビット・レート、ビデオ解像度およびフォーマットを自動的に選択できる。このため、端末の種類に応じたビデオ・フォーマットが自動的に選択され、ビット・レートの自動調整によって帯域幅の変動が補正されるため、3Dコンテンツを2Dディスプレイで視聴することもできるという。

すでに、EUが資金提供する「COAST(Content Aware Searching and Streaming)プロジェクト」によって試作品が開発されており、2011年9月27日~29日の間、イタリアのトリノで開催された「Networked and Electronic Media(NEM)Summit」においてデモが実施された。

Networked and Electronic Media(NEM)Summitにて公開されたデモの様子(提供:STMicroelectronics