Analog Devices(ADI)は、高電圧の医用および産業用アプリケーションの安全な動作を保証するために、世界のさまざまな産業用安全規格で規定されている最小8mmの沿面距離(Creepage)を実現したデジタル・アイソレータ用パッケージング技術を発表した。

同パッケージング技術は、同社のデジタル・アイソレーション技術「iCoupler」を組み込んで、8.3mmの沿面距離を実現しており、CSAインターナショナル(Canadian Standards Association/カナダ規格協会)から認証を取得している。最高220-250VのACで動作する医療診断や測定、監視、産業用や計装システムなどのアプリケーション向けに設計されており、これにより、設計者はこれらのアプリケーションで求められる最小沿面距離の要件に準拠しつつ、性能の劣るフォトカプラをデジタル・アイソレータへ置き換えることができるようになると同社では説明している。

ちなみに沿面距離とは絶縁表面上の導体間最短距離のことで、その長さや電圧などの条件によっては直流的に絶縁されている2つの導体間にアークが走る場合があるため、適切な絶縁を保証するためには、動作電圧125Vでは沿面距離6mm、また動作電圧220-250Vでは最小8mmの沿面距離を持つパッケージをそれぞれ必要としている。JEDECの現行の規格では、16ピンSOICはパッケージ横方向の端から端までの沿面距離が7.6mmで、高電圧の医用および産業用アプリケーションの安全動作を保証する220-250V AC条件を満たせておらず、今回、JEDECの現行の規格よりパッケージ縦方向の長さを2.5mmだけ長くすることで、横方向沿面パスを8.3mmまで拡大することに成功しており、これにより、ボードスペースへの影響を最小限に抑えつつ、現状のJEDEC規格のフットプリントとの互換性を保つパッケージを実現したという。

なお、これらの製品は16ピン SOICパッケージで供給される。

具体的に提供されるiCouplerデジタル・アイソレータは以下のとおり。

  • 「ADuM220x」:デュアル・チャンネル・アイソレータ
  • 「ADuM221x」:デュアル・チャンネル・アイソレータ
  • 「ADuM225x」:ラッチ機能なし双方向通信チャンネル付きアイソレータ
  • 「ADuM240x」:クワッド・チャンネル・アイソレータ
  • 「ADuM4160」:USBアイソレータ
  • 「ADuM440x」:クワッド・チャンネル・アイソレータ
  • 「ADuM6000」:絶縁DC/DCコンバータ(12月に認証取得予定)
  • 「ADuM620x」:集積DC/DCコンバータ付きデュアルチャンネル5kVアイソレータ(12月に認証取得予定)
  • 「ADuM640x」:集積DC/DCコンバータ付きクワドチャンネル・アイソレータ(12月に認証取得予定)
  • 「ADM268xE」:5kVrms信号・電源アイソレーションRS-485トランシーバ(12月に認証取得予定)