Dassault Systemsの日本法人であるダッソー・システムズとSIM-Driveは9月12日、SIM-Driveが進めている電気自動車(EV)の先行開発車事業において、Dassuaultの「CATIA Version6(V6)」に関する長期提携契約を締結したことを発表した。また、併せてSIM-Driveは2012年2月23日から2013年3月31日まで、先行開発車事業第3号を実施することを決定し、参加機関の募集を開始したことを発表した。

同契約に伴いSIM-Driveでは、V6を3つのステップにわたって活用していく計画だ。第1ステップでは、SIM-Drive内部および各協力企業などから同社に駐在するエンジニアなどが、内部でV6を用いて一元的に設計を行うというもの。第2ステップは、SIM-Driveの外部から参加企業などがオンラインでデータなどをリアルタイムでレビューすることを可能にする段階、そして第3ステップは、SIM-Driveの成果を実際のEVの量産などの際に、SIM-Driveのデータ(V6)と工場などをオンラインで結ぶことで、その成果をリアルタイムで活用できるようにするというものである。

V6を用いることで、設計・開発者のみならず、製造、サポートといった領域までデータをシームレスに統合管理することが可能となるというのがDassaultの説明

SIM-Driveの代表取締役社長である清水浩氏(慶應義塾大学環境情報学部教授)

SIM-Driveの代表取締役社長である清水浩氏(慶應義塾大学環境情報学部教授)は、「2011年1月から2012年3月にかけて第2号車の開発が進行中で、現在、開発が佳境に入ったところ。元々CATIAはVersion 5から用いていたが、この第2号車の開発に際し、ダッソーに参加してもらい、V6の活用を始めた。今回の長期契約はこの延長線上にあたるもの」と今回の契約の背景を説明する。

また、併せて、SIM-Driveでは2012年に第3号を作る計画を立てており、こちらでもV6を活用していく計画。「CATIAは、自動車開発に関わるあらゆる部門、職能スタッフにとって利用可能な柔軟性と拡張性、利用のし易さを備えたシステム。SIM-Driveに参加する企業とのコラボレーションとコミュニケーションを行うために適したシステムで、SIM-Driveで開発する技術を世界中に発信するために有効なシステムでもある」とV6を使うことで、多くの企業との連携がより進むことを協調した。

左から第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ。ステップを踏むごとにデータを活用する企業の領域が拡大していく

なお、第3号はこれまでの第1号、第2号とはまた異なる車種の開発を目的としており、具体的な車種の選定は参加企業の合意に基づいて決定される予定。ただし、いずれもインホイールモーターやコンポーネントビルトイン式フレームなどのプラットフォーム部分は共通アーキテクチャとして活用していく方針となっている。この共通プラットフォームの活用について清水氏は「インホイールモーターにとって、ホイールベースが5cmや10cm変更されても、実は大きな差は生じないことがこれまでの研究で分かっている。そのため、1~3号までのシャシーについてはそのサイズの大小問わずに共通プラットフォームということができる」と説明している。

SIM-Driveのビジネスモデル(左)とインホイールモーターなどの共通プラットフォーム部分の技術