アドビ システムズは都内にて、クリエイター向けのセミナー「デジタルフォト&デザインセミナー2011~トップクリエイターのテクニックとアイデア~」を開催した。セミナーでは、CGクリエーター 早野海兵氏が「Photoshop」と「Autodesk 3ds Max」を活用した画像制作テクニックや、CM映像制作の裏側を披露した。

セミナーでは、このCM映像の制作秘話が明かされた

セミナーで紹介されたのは、とある企業のテレビCM用の作品。女性のモデルがCGのパワードスーツを着て、ポーズを決め街を歩くというインパクトのある映像だ。早野氏がこの映像制作を開始したときは撮影前だったため、素材となるものはなにもなかった。そこで、まずはパワードスーツを3ds Maxで制作し、あらかじめ何通りかのポーズを作ってしまった。そして、PCと完成したCG素材を撮影現場に持ち込み、それを元にカメラマンと相談しながら撮影を行なったとのこと。

また、スタジオで撮影された写真をその場で受け取り、Photoshopを使って簡単な合成写真も作ったそうだ。このように完成形に近い画像をスタッフに見せると、撮影スタッフもモデルもイメージが掴みやすくなり、撮影がスムーズに進む。早野氏が特に撮影時に気をつけた点は、CGと実写のライティングだと言う。光源の位置や光量がかけ離れていると、合成の仕上がりが不自然になってしまうからだ。

撮影前にグラフィック制作したパワードスーツ。なお、このデザインも早野氏が担当している

モデルのポーズを想定して、あらかじめポーズを決める

撮影現場で簡易合成を行ない、スタッフ全員で完成形をイメージする

3DCG制作に関する様々な解説を終えた早野氏は、「3DCGを全面に押し出すのではなく、作品にひと味加える要素として活用すれば、実写だけでは表現できない作品が作れるはずだ」とセミナーを締めくくった。