昇進する、資格をとる、痩せる……目標が何であれ、共通して必要なのがモチベーションだ。やる気を出すために使われるモチベーションだが、そのモチベーションを上げるために用いられるテクニックはきちんと理解して使わないと効果が出ないという。

やる気を刺激する材料は人によりけりだろう。「意志の力」に頼るという方法もあれば、「達成した自分をイメージする」、「自分に言い聞かせる」といった方法もある。「ご褒美」が最も効果的な人もいるだろうし、「達成できなければ罰を与える」というストイックな人もいるかもしれない。

「意思の力」「イメージ」「言い聞かせ」「ご褒美」「罰」はモチベーションを上げるテクニックとしてよく知られているが、いずれについてもどうしてやる気につながるのかを正しく理解しておかないと、モチベーションを高められないという。Life Optimizerの「5つのモチベーションミス(原題:5 Motivation Mistakes That Sounds Like Good Ideas)」という記事では、各テクニックの落とし穴とその落とし穴に陥らないためのコツを解説している。

最も大きな落とし穴に見えるのが「イメージ」だ。「なりたい自分をイメージして」などという言葉が使われるが、「漠然と達成した状態をイメージして、セミナーを受けたり、製品を購入したりしても、「まだ達成していない」ことを確認しているにすぎない」と、筆者のMike Reeves-McMillan氏は指摘する。必要なのは、目標に達成する過程にある自分をイメージすることだという。

なるほど、ダイエットの場合、痩せた自分をイメージしてダイエット食品を買うよりも、痩せるまでのプロセスをイメージしたほうが効果がありそうだ。さらに、事前にイメージしているから、その過程に入るにあたっての心理的障害が低くなり、より効果的に取り組めるというわけだ。

「イメージ」に関連しているのが「言い聞かせ」だ。現実と違うことを言い聞かせることは、心の中に不協和音や幻滅が生じやすい。再び、ダイエットを例にとってみよう。「痩せている」と自分に言い聞かせても、心の中では違うと知っているはずだ(だから、ダイエットするわけなのだだが)。それよりも、「目標を達成するために○○をしている」と言い聞かせるほうが、モチベーションが上がるという。

「意志の力」の落とし穴は、意志には限界があるところにある。限界点を過ぎた後、どうするか。意志はモチベーションの中で最もベーシックなものだから、基本を見直せばよい。人間は基本的に楽しまないと物事を続けることができない。よって、モチベーションアップに意志を用いる際は、「楽しめる方法を見出す」、「新しい目標を見出す」、「無駄なものを除去して目標達成のために貴重な意志リソースを残す」といった対策が考えられるという。

「ご褒美」は古くからある手法だが、日本では、オトナがご褒美を自分に与えるのは最近使われるようになったテクニックだ。だが、実践していることと無関係なご褒美では効果がないそうだ。達成までのプロセスを「価値あるもの」かつ「楽しめるもの」にし、目標達成までのマイルストーンを祝うことがご褒美の効果だという。

最後は「罰」だ。できなかったら罰を科す――ネガティブな結果からモチベーションを得るというテクニックだが、うまく使わなければ単に憤りを誘うだけだ。罰も「ご褒美」と同じで、「目標と無関係だと効果は出ない」と筆者。罰の正しい使い方は、「モチベートしたい行為のポジティブな結果を考えた後、現在の行為のネガティブな結果を見直してみることで、ポジティブな結果がネガティブな結果の先に来て、モチベーションを高められる」そうだ。

モチベーション活用の5つの落とし穴、「なるほど」と頷けるモノもあったのではないか。これまで何かを達成しようとしてうまくいかなかった人は、ぜひ参考にされたい。