30年間にわたって飛行を続けてきたスペースシャトルの引退がいよいよ目前に迫った。ラストフライト「STS-135」で使用される機体は「アトランティス」。フロリダにあるケネディ宇宙センター(KSC)から、米東部夏時間2011年7月8日11:26に打ち上げられる予定だ。このラストフライトについては、また後のレポートで触れることにしたいが、本稿ではまず、表題にもある「Tweetup」というものについて説明していこう。

発射台で打ち上げを待つスペースシャトル最後のオービター「アトランティス」(C)NASA/Kim Shiflett

このTweetup、あまり知名度はないかもしれないが、ひと言でいうと「抽選で150名をNASAの打ち上げにご招待!」というキャンペーンなのだ。「招待する」といっても、さすがに150人分の旅費を出すほどNASA(米国航空宇宙局)も気前よくはないので、交通費や宿泊費、レンタカーなどの移動手段などはすべて自分で用意する必要はあるのだが、KSCに辿り着きさえすれば、"特等席"とも言えるプレスサイトで打ち上げを見ることができる。

プレスサイトは、文字通り取材陣のために用意されている場所だ。KSCのゲート内にあって、通常、一般の観客はここに来ることはできないが、Tweetup参加者には通行証が出され、特別に立ち入りが許可される。筆者はKSCにまだ行ったことがないので(それどころか米国に行くのも初めてだ)、自分の経験として語れないのだが、発射台にはより近いので迫力はあるはず。

Tweetupへの応募にはTwitterを使う。Twitterのアカウントが必要になるので、もしまだ持っていないようならユーザー登録(無料)して、NASAのアカウント(@NASA)をフォローする。期間限定でオープンする応募サイトにアクセスして、フォームに必要事項を記入するだけでオーケーだ。STS-135のときは、24時間に5,500以上もの申し込みがあったという。当選者は、こちらのリストで見ることができる。

Tweetupは今回で5回目。今まで、STS-129(アトランティス)、STS-132(同)、STS-133(ディスカバリー)、STS-134(エンデバー)でも実施されている。

前書きが長くなったが、このTweetupに筆者は当選してしまったのだ。

6月11日にNASAから当選のお知らせが届いたのがすべての始まり…

「当選してしまった」というのは、もともと筆者、STS-135は取材で行くつもりだったのだ。いままで日本のロケットの打ち上げは10回くらい見ているのだが、スペースシャトルはいつか行こうと思いつつ、時間やら費用やらでズルズルと見送っていた(何せ1週間や2週間は平気で延期になる機体だ。行っても見られない可能性も高く、なかなか踏ん切りがつかない)。しかし今回は本当にラストフライト。これを見逃すともう打ち上げを直に見るチャンスは2度とないため、準備を進めていた。

筆者は一応宇宙関係の記事を書いているライターなので、プレス申請すればプレスサイトから見ることはできる。それでどうしようか迷ったのだが、せっかく当選したのだから、Tweetup参加者として楽しむことにした次第。プログラムには、NASAの宇宙飛行士や技術者らとの懇談、KSCの見学ツアーなども含まれており、これはこれで面白そうだ。いつもの取材記事とは異なったものになるだろうが、現地から随時レポートをお届けしたいと思う。状況は筆者のTwitterアカウント(@ots_min)からもお伝えする予定。

さて、一番気になるのはアトランティスのスケジュールであるが、今のところ(2011年7月5日17時:日本時間)、大きなトラブルは報告されていない。7月8日の打ち上げに向けて着々と準備が進められているようだが、しかし過去の打ち上げから考えて、一度の延期もなくすんなり打ち上がるとはおそらく誰も思っていないだろう。日程の都合で、いずれにしても明日(6日)早朝のフライトで出発しないといけないし、打ち上がろうと打ち上がるまいと15日には帰国の途につくのだが、延期のお知らせに戦々恐々としつつ、筆者のSTS-135取材は始まるのであった…。どうなることやら。