三洋半導体は、ICレコーダーなどのポータブルオーディオ機器向けに、ハードワイヤード方式のMP3エンコーダ/デコーダを内蔵しながら、低消費電力5mWとDSP内蔵による高機能対応を両立した、音声処理LSI「LC823425」を発売した。同製品は、すでにサンプル出荷を開始しており、サンプルの単価は1万個注文時で7.0ドル。量産出荷は2011年7月からを予定している。
同製品は、新たに開発したMP3エンコーダを採用することで、エンコード時の消費電力を従来品比で50%削減しているほか、1.0V動作が可能な低電圧90nmプロセスを採用したことで、MP3録音/再生時の消費電力約5mWを実現している。また、ヘッドフォン用のD級アンプを内蔵したことで再生時の消費電力の低減も実現しており、これらにより、従来品比で約30%の消費電力削減を実現したという。
また、同社独自の24ビットDSPを内蔵。これにより従来のソフトウェア資産の流用が可能となっているほか、カスタマニーズに併せたソフトウェアを開発することで機能の拡張も可能だという。機能拡張としては例えば、ICレコーダーで使用されることが多いノイズキャンセル機能(エアコンなどのノイズを低減し録音済みデータ再生時に音声を聞き取りやすくする機能)や集音器機能(低遅延のノイズ低減処理と高ゲインアンプによりリアルタイムで音声を聞き取りやすくする機能)、及び話速変換機能(無音部分に音声を引き伸ばすことで全体の再生時間は同じままで音声をゆっくり聞く機能)などが実現可能だという。
さらにMP3デコーダの高速化と新アルゴリズムの採用により、可変速再生機能(音程を変えずに高速・低速に再生する機能)は、同社の従来製品比で最大2倍の高速化(0.5倍~4倍速。1.2V動作時)を実現したほか、WMAやAACファイルのデコードも可能で、各種圧縮フォーマット対応が要求されるオーディオプレーヤーにも適用可能だ。加えて、音声データの中から楽曲のみを抽出する「ミュージック抽出技術」により、例えば、FMラジオから楽曲部分だけを抜き出して録音する機能への応用も可能だという。
