三菱電機は人工衛星などの宇宙関連機器の生産を行っている同社鎌倉製作所の人工衛星生産棟の増築を決定したことを発表した。

同社は1999年に同製作所内に人工衛星生産棟を建設し、人工衛星の一貫生産体制にて生産を行ってきた。現在までに18機の人工衛星と国際宇宙ステーション補給機(HTV)「こうのとり」の電気モジュールの開発、製造を行ってきたほか、2011年3月には同社の標準衛星バス「DS2000」を評価したトルコTurksatから通信衛星「Turksat 4A号機・4B号機」を受注したことに加え、5月にはシンガポールSingTelと台湾 中華電信社向けに製造した商用通信衛星「ST-2」の打り上げと軌道投入に成功していた。

同社では生産能力増強決定の背景として、2009年に政府の宇宙開発戦略本部が策定した宇宙基本計画にて、人工衛星の開発・製造を従来の研究開発主導型から利用ニーズ主導に転換することがうたわれ、今後、政府による人工衛星を利用した高精度測位情報サービスなどの社会インフラ構築が計画されていることに加え、通信需要の急激な増大などにより、世界の商用通信衛星市場が今後も平均年間20機と堅調な需要が見込まれるためとしている。

人工衛星生産棟の増築箇所は2013年3月末に竣工予定で、これにより生産能力は4機から8機へと倍増することとなる。投資額は約30億円で、増築面積は建屋で2052m2、述べ床面積で7700m2となる予定。

電波暗室とスペースチャンバ。画像はいずれも現行設備のものだが、これらと同等の設備を新設する予定

同社では、人工衛星事業を成長戦略の1つとして位置付けており、これまで培ってきた品質・価格・工期の競争力向上に加え、今回の生産能力増強により、国内需要増への対応と積極的な海外展開を図ることで、2020年度には人工衛星を含む宇宙関連事業全体で売上高1500億円を目指すとしている。