大日本印刷株式会社(DNP)は、フルハイビジョン(HD)のデジタル画像のコントラストをリアルタイムに補正するアルゴリズムを搭載した、フルHD版のコントラスト補正IC「DT013150」を開発したことを発表した。監視カメラなどの映像機器に同製品を組み込むことで、画面内の明るい部分、暗い部分を補正し、画像全体のコントラストを適切に記録・表示することが可能になるという。すでにサンプル出荷を開始しており、量産開始は2011年10月を予定している。
同社のコントラスト補正ICシリーズは、人間の網膜と同じように、同一画面内の明るい部分、暗い部分を認識し、適切なコントラストに補正する英Apicalの技術を活用したもの。モバイル機器においてソフトウェアとして同技術を動作させると、CPUの処理能力の制約を受けてリアルタイムの補正が困難になる場合があるが、同コントラスト補正ICシリーズは、ソフトウェアをASIC化しているため、モバイル機器で使用しても、静止画はもちろん動画のリアルタイム補正が可能で、機器に組み込むだけで、こうしたコントラスト補正機能を搭載することができるようになる。
今回の製品は、フルHDに対応した高速処理を実現しており、従来の800×480ピクセルに対し、1920×1080ピクセル(60fps)までの動画像への対応が可能となっている。また、暗い部分をコントラスト補正するとノイズが強調され、画像に斑点がでてしまうといった問題に対し、独自の機能によりコントラスト補正前にノイズを除去することで、監視カメラで暗い場所を撮影してもコントラスト補正の効果を十分に発揮することが可能となっている。
さらに、コントラスト補正により視認性を改善できるため、ディスプレイのバックライトの輝度を下げたり、室内の照明を落としたりといった省エネ対策にも効果的だと同社では説明している。
なお、DNPでは、同製品を含むコントラスト補正ICシリーズ全体で、2013年度までに10億円の売り上げを見込んでいるという。