TANAKAホールディングスは5月31日、2010年9月1日より11月30日の期間に募集を行った田中貴金属グループの2010年度「貴金属に関わる研究助成金」の受賞者を発表した。
同助成金制度は、貴金属を使用した研究・開発を行なう国内の教育機関、公的研究機関に対して「貴金属が拓く新しい世界」へのさまざまなチャレンジを支援するもので、1999年度から毎年実施されてきたもの。第12回目となる今回は、「貴金属が貢献できる新しい技術、商品の実用化に向けての研究・開発」をテーマに、電気・電子、自動車、環境、エネルギー、メディカル、バイオ、ナノなどの分野から研究を募集し、合計158件の応募があったという。
最高金額500万円が授与される「プラチナ賞」には九州大学の石原達己教授(応用化学)が、200万円が授与される「ゴールド賞」には岡山大学の金原正幸助教(数理物質科学)がそれぞれ選出、両氏のほか、合計28件の研究に対し、総額1,430万円の研究助成金が授与される。
プラチナ賞を獲得した九州大学の石原達己教授の研究タイトルは「リチウム-空気2次電池のための空気極としての貴金属を担持したナノ形態制御酸化物」で、将来のエネルギー問題に対するソリューションの1つとして、次世代2次電池として開発が進められている金属-空気電池に対し、貴金属を活用する点が、評価されたという。
一方のゴールド賞を獲得した岡山大学の金原正幸助教のタイトルは「導電性貴金属ナノ粒子インクを用いた印刷有機半導体デバイスの創製」で、導電性インクと印刷技術を利用して電子回路を形成する「プリンテッドエレクトロニクス」の分野において、貴金属のナノ粒子を機能性インクとして応用し、太陽電池をはじめとしたデバイスに適用させる点が評価されたという。
なお、2011年度の研究助成金については、2011年秋に募集を開始する予定としている。