三菱化学とパイオニアは5月10日、発光層を塗布プロセスで成膜した有機EL素子で、52lm/Wの発光効率と2万時間の寿命を達成したことを発表した。

一般的な有機ELパネルは蒸着成膜プロセスによって製造されているが、大面積で欠陥の無い均一発光面を低コストで量産するためには、塗布成膜プロセスでの製造が求められている。

しかし発光層を塗布プロセスで成膜する場合、これまで開発されたものは、発光効率が低く、寿命が短いという課題があった。

三菱化学とその研究開発子会社の三菱化学科学技術研究センター、そしてパイオニアは、2010年1月より、塗布型発光材料を用いた照明用有機ELパネルの共同開発を進めており、今回、開発した有機EL素子では、三菱化学が開発した独自の塗布型発光材料を用い、三菱化学とパイオニアが共同で素子設計と塗布成膜プロセスを最適化することで、白色輝度1,000cd/m2における発光効率が52lm/W、初期輝度1,000cd/m2における輝度半減寿命2万時間の高効率と長寿命を両立させることに成功した。

有機EL素子の断面模式図各種

三菱化学は2011年7月に有機EL照明パネル光源モジュールの販売開始を計画しているが、同モジュールは、パイオニア子会社の東北パイオニアが下地層に塗布成膜プロセス、発光層に蒸着成膜プロセスを用いて量産する予定。今回開発された発光層も塗布成膜とする有機ELは、同モジュールに比べ低コスト化と高性能化を実現することができるものであることから、両社は2014年までの本格事業化に向けた共同検討を推進していくとしている。