27日、東京お台場の東京国際交流館で開催されている「スマートフォン2011 春」において、ユナイテッドアローズの小森谷氏が、「iPhoneを活用した店頭業務支援」と題した講演を行った。

ユナイテッドアローズ 事業支援本部 情報システム部 業務システムチーム チームマネージャー 小森谷郷氏

この事例については、小誌連載「事例で学ぶiPhone/iPad活用術」の第9回で、すでにお伝えしているが、今回、その後の展開についての説明もあったので、レポートする。

詳細は、連載の記事を参照していただきたいが、システムの概要は以下のようなものだ。

ユナイテッドアローズでは、一部店舗において、販売スタッフがiPhoneアプリを利用して、リアルタイム在庫の検索を行っている。これは、顧客から同じ商品の他の色、他のサイズに関する問い合わせが頻繁に発生するため、自店舗だけでなく、他店舗の在庫も確認する必要があるからだ。iPhoneを導入する以前は、その都度バックヤードに戻り、PCで在庫を確認していたが、顧客の中には待ちきれずに帰ってしまうことさえあったという。そこで、iPhoneを使って店頭で在庫を確認できるシステムを開発し、昨年の9月から運用を開始した。

在庫検索画面

スタート当初は繁忙店4店舗に導入されていたが、現在は5店舗に拡大。今後さらに5店舗に新たに導入するという。また、導入済の店舗でも端末の増設の要望が出ており、台数を増やす予定だという。

アプリの機能拡張も行われ、在庫検索以外にも、店舗の売上実績を予算と比較しながら確認できる機能や、売上TOP10を表示できる機能も新たに追加している。売上TOP10では、売れ筋商品を知ることができ、店舗ではそれに合わせて商品の配置する構成を変えたり、在庫を補充するなどして、売上アップに役立てている。

小森谷氏は、今後の展開として、バーコードリーダーと電話の活用を考えているという。バーコードリーダーは、現在、手で行っている商品コード入力に利用する予定だが、価格、大きさの問題で、導入できるソリューションが見つかっていないという。電話に関しては、店舗で電話を利用するケースが多いので、アドレス帳を整備するなど、使い勝手がよくなるよう工夫していくという。

ただ、それ以上の機能追加は今のところ考えていないという。小森谷氏は「店舗にはパソコンも導入されており、パソコンでほとんどの作業が行えます。iPhoneに何でも載せてしまうと、アプリが重たくなり、使い勝手が悪いものになってしまいます。iPhoneは誰でも使えるシンプルなものにする必要があるので、パソコンとの棲み分けが重要です」とした。

また、小森谷氏は「1台あたり月額5,000円の経費は、店舗にとっては大きな金額です」と述べ、他店舗への展開や端末の増設については、費用対効果を見ながら慎重に行っていく考えを示した。