計測機器ベンダAgilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、自社のシグナル・アナライザ「Agilent PXAシグナル・アナライザ」が最大50GHzのミリ波まで対応したことを発表した。同製品は、外付けのミキサを使うことで325GHz以上の周波数にも対応することが可能となっている。

50GHzに対応した「Agilent PXAシグナル・アナライザ」

PXAは、堅牢なハードウェア設計を採用していることに加え、ハードウェア性能を拡充するため、ローノイズ・パスやノイズフロア低減技術(NFE)を採用、ノイズを低減してダイナミックレンジを広げることに成功している。これにより、先端のミリ波システムの設計や試験で課題となっていた、大信号の中に埋もれてしまうような小信号の測定が可能となることから、要求の厳しいデバイスの測定も可能となり、従来では不可能であった高いレベルの設計が可能となるという。

あらゆる測定設定において低ノイズを実現しており、他のシグナル・アナライザで10倍の分解能帯域幅の設定とした場合と同じ感度を実現できるため、掃引時間が100倍以上高速となるという。

また、ローノイズ・パスを使用した場合、50GHzで-138 dBmの表示平均雑音レベル(DANL)を実現可能なことに加え、NFEをオンにすると、DANLをさらに約6dBm改善することが可能だ。これは、既存の高性能スペクトラム・アナライザ「Agilent PSA」シリーズと比べると20倍以上の高感度となっているという。

さらに、140MHzの解析帯域幅、50GHzまでのフルバンド・プリアンプ、-110dBc/Hz(10kHzオフセット時)の近接位相雑音、50GHzで+13dBmの3次相互変調歪みを実現しており、ミリ波帯で動作する航空・宇宙・防衛関連システムの開発要求にも対応可能となっている。

加えて、外付けのミキサを使用することで、325GHz以上まで周波数帯域を拡張できる柔軟性を兼ね備えている。同社が新たに発売したウェーブガイド・ハーモニック・ミキサ「M1970V/W」に対応しており、これを用いることで、PXAの性能を110GHzの周波数帯まで使用することができ、ミリ波測定を簡素化することができるようになる。同ミキサはUSBプラグ&プレイに対応しており、PXAに接続するだけで、変換損失データのダウンロードなど、必要な設定を自動的に行うほか、ローカル発振器のケーブル長の違いによる経路損失の補正も自動で行う。

ウェーブガイド・ハーモニック・ミキサ「M1970V/W」

こうしたスマート・ミキサを併用することで、測定性能、信頼性、使い勝手を改善することが可能で、自社製のミキサのほか、他社製のミキサ(325GHz以上)にも対応している。

同50GHzモデルおよびウェーブガイド・ハーモニック・ミキサ「M1970V/W」はともに販売を開始しており、販売価格は50GHzモデルが970万円(税別)からとなっている。