SanDiskの日本法人であるサンディスクは2月2日、都内で会見を開き、最大転送速度100MB/sを実現したコンパクトフラッシュ「SanDisk Extreme Pro コンパクトフラッシュカード 128GB」ならびにSD 3.0規格のUHSテクノロジーに対応したSDメモリカード「SanDisk Extreme Pro SDHC UHS-Iカード」の国内正式発表を行い、併せて国内での販売戦略を披露した。

サンディスクのマネージング・ディレクターである青柳マテウ氏

サンディスクのマネージング・ディレクターである青柳マテウ氏は、冒頭、「2010年はデジタルカメラでのSDカードの利用拡大に加え、スマートフォンの伸長などの影響で、リテール向けは過去最高の売り上げを記録した。日本でもマーケットシェア1位を維持しており、今回発表する2製品により、より強固な市場での地位の確保を狙う」と語った。

また、同じくサンディスクのマーケティング部ディレクターである大木和彦氏は、日本における同社のSDメモリカード戦略として、「Extreme Pro UHS-Iの登場により、高速SD製品ラインは、Class-4、Class-6、Class-10、UHS-Iの4ラインアップ、それにClass-2のブルーラインの製品が加わることで複雑となる。そのため、3月をめどにClass-6とClass-10のラインアップを統合し、Class-2/4/10/UHS-Iの4ラインアップへと見直しを行う」とした。

左が従来の高速SDメモリにExtreme Proが加わった状態のラインアップ。この下にブルーラインと呼ばれるClass-2のSD/SDHC製品も存在している。右が3月をめどに予定されているラインアップの変更後の製品カテゴリ分け。ブルーラインの立ち位置に変更はない

サンディスクのマーケティング部ディレクターである大木和彦氏

また、価格戦略にも言及。「あくまでオープン価格だが、市場想定価格としてサンディスクではHD動画対応デジタルカメラの10%を想定している。この価格は実売のカメラとメモリカードの価格比を見ても、ほぼこの流れできており、今回もそれを踏襲したものとなっている。UHS-Iの想定価格は、8GBで6000円前後、16GBで1万2000円前後、32GBで2万3000円前後としており、例えば16GBはUHS対応のニコンのデジタルカメラD7000本体の直販価格(2月2日時点)で13万8000円の10%弱となるほか、32GBもD7000 18-200 VRII レンズキットの直販価格(同)で22万6000円とやはり10%程度となる。メモリカードはハードあってのカードなので、まずはこうした価格戦略とすることでUHSの日本での普及を促進させたい」(同)とした。

SDHCカードとHD動画対応デジカメの平均価格(実売)の推移。SDHCカードの価格はHD動画対応デジカメの価格に対しおよそ10%近辺を常に前後する形で推移している。そのことを踏まえると、今回のUHS-Iも対応するD7000の価格の10%程度となるとする

さらに、SDメモリカードの大容量化が2010年後半より急速に拡大していることに言及した。「HD動画対応のデジカメが当たり前になり、デジタルスチルカメラとビデオカメラの垣根が低くなってきた。2010年9月に我々もデジカメで動画がどの程度用いられているのかを調査したが、実に77%の人が何らかの動画を撮影しており、全体の27%の人は動画の方が多いという回答だった」とするが、「ただし、実際の撮影時間は5分以内が多く、ショートムービーはデジカメ、長時間の撮影はビデオカメラという流れになっている」とし、「動画を撮影するには低容量のメモリカードでは明らかに不足。例えば、4GBで1/4を写真、3/4を動画に回したとしても、動画は合計で20分しか撮影できない。MP3プレーヤでもそうだが、低容量のものを買って失敗したと思うことはあっても、大容量のものを買って失敗したと思う人は少ない。サンディスクとしては大容量のメモリカードを推奨していきたい」(同)とした。

デジタルスチルカメラでも動画撮影機能を活用する人は多い。ただし、その撮影時間は5分以内が74%を占めているという同社の調査

加えて、調査会社Gfkのデータを引用し、「SDメモリカードの主流はまだ2GBと4GB。しかし、サンディスクのみを見ると、販売数では4GBそして8GBが主流となっているほか、売り上げ規模を見ると、16GBが全売り上げの21%、32GBも14%に達しており、大容量品が主軸へと成長している」と指摘、microSDに関しても、「2010年後半からAndroid端末の国内での登場によって、16GBおよび32GBの普及が進んでおり、SDメモリカードよりも大容量化が進んでおり、スマートフォンの普及が進めばさらに伸びていく」との見方を示した。

SDメモリカード市場全体に占める割合はまだまだ2GBと4GBが大きいが、サンディスク単体で見ると4GBと8GBの比率が高い

また、サンディスクにおける売り上げ比率としては4GBも高いが、8GBが30%、16GBが21%、32GBが14%と大容量品の比率が高まってきている。さらに、microSDは16GB、32GBが高い伸びを示しており、その飛躍したタイミングがGalaxy Sの発表であったり、IS-03の発表であったりと、Android端末に合わせた形となっていることを指摘する

なお、2011年についても、「大容量化がスマートフォンの普及やHD動画対応のデジカメのさらなる普及により促進されることに加え、フルHDや3D動画の利用が進むことが考えられることから、メモリカードの高速化がより求められる状況となり、UHS対応が進むこととなる」との予測を披露、メモリカードの高速化がさらに進んでいくとし、それに併せた製品開発を継続して行っていくとした。

2月2日より出荷を開始したSanDisk Extreme Pro SDHC UHS-Iカード。左から8GB、16GB、32GB