ETロボコンのやりがいと効果

――本業もこなしつつのETロボコン参加ということで、活動時間はどのようにされていたのでしょうか?

宮崎:基本的には定時後に皆で会議室に集まって、という形ですね。最初は週の平日2回と、月の休日2回やろうという話だったんですが、やればやるほど新しい課題が出てくるので日程を調整して…。そうすると作業量が常に増えていって、終盤はもう毎日やる感じで(笑)。後半は日程キツキツでしたね。

山口:ふつう、企業から出荷する製品なら原則何百時間稼働すればOKとか一定のラインが存在しますけど、ロボコンではどんどん欲が出てきて、どうしても終わりがない状態になってしまうんですよ。

――そうした中で今回は見事な結果を出された訳ですが、最後に今回のETロボコンを通じての感想と、この経験を今後どう活かしていきたいか、1人ひとりお願いできますか。

宮崎:そうですね、4年間やってきてて、総合優勝というのが初めてだったので…取りたい取りたいと思ってきたので取れて嬉しいですね。実際、ウチの部署は組み込みではないのでUMLの設計は使っていないんですが、長く勉強してきて、仕事に使えるものはあるはずだから、これを部内に広めていきたいなとは思っています。こういう分かりやすいツールがあるんだよ、皆そんな古臭い方法はやめちゃえよ、って…(笑)。僕もまだ未熟でちゃんとできるか分からないですけど、活かしていけたらいいなと。

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宮崎泰貴さんのコメント(wmv形式 6.77MB 1分11秒)

中嶋:実は、自分は今遠い所に派遣されてまして、平日は一切活動できず土日ぐらいしか参加していないんですね。それで初めはやめようかと思ったりもしたんですけど、皆が自分がうまく活動できるような感じにしてくれて…ソースコード管理とかでもちゃんと分かるようにしてくれたり、自分がその場にいなくてバッといきなり行っても活動できるような形に今はなってまして。皆のおかげだなと感謝しています。

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中嶋博貴さんのコメント(wmv形式 7.79MB 1分23秒)

山口:チャンピオンシップに出場して相対的に去年よりもETロボコンに対する活動の時間が長くなって、定時後や休日の時間を使ってずっと活動してきた訳ですけど、やっぱり時々は"給料が出る訳でもないのになんでこんなにがんばってるんだ?" と思ったりもする訳です(笑)。でも、そういう状況の中でロボコンをやることのご褒美は何かと言ったら、やっぱりこういう結果を出せるということなんですね。自分たちも喜べて、応援してくれた方たちも一緒になって喜んでくれて、本当に嬉しく思います。今は会社の中でのロボコン活動というのはそんなに目立ったものではなくて(笑)、環境や設備もそれほど整っている訳ではないんですが、今回の結果を通して会社の見る目も変わってもう少し環境が改善されたらいいな、と思います。

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山口強さんのコメント(wmv形式 8.50MB 1分30秒)

岩井:ETロボコンをやる効果というのが確かに会社にはちょっと分かりにくいのかなと思うんですが…人の管理とか時間の管理とかそういうことも経験できると思うんです。実務だと3~5年目ぐらいだとなかなかそこまで考える余裕もない、立場でもないことが多いんですけど、ロボコンをやっているとそういう事も考えられる。それを後に活かしていって、そちらの方面から会社に認めてもらうのも面白いかなと。ロボコンを経験したメンバーは何か違うな、というのはできればいいなと思っています。

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岩井孝之さんのコメント(wmv形式 5.96MB 1分2秒)

――以前、ETロボコン本部事務局へのインタビューもさせていただいたのですが、運営側もアピールしているETロボコンの教育効果は見事に発揮されていると言えそうですね。本日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました!

実に清々しく、真正面からETロボコンに取り組んで総合優勝を勝ち取った「AEK RUNNER10」の皆さん。あらためて拍手を贈りたい。おめでとうございます!

ETロボコン2010総合優勝チーム「AEK RUNNER10」のインタビューは以上。モデルも走行性能も正攻法でレベルアップを重ね、最後はチームワークで勝ち取った栄冠ということで、インタビューをしていてもとにかく清々しい印象を受けた。

今年はいよいよ10年目という節目の年を迎えるETロボコン。来月2月には「ETロボコン2011」に関する発表も予定されており、さらなる新展開もありそうだが、果たして今年は全国のどのチームが総合優勝の栄冠をつかみ取るのか? 組み込みエンジニアたちの静かに熱い戦い、大いに期待したい。