東京エレクトロン(TEL)と田中貴金属東京工業は11月24日、次世代半導体微細化技術として用いられるルテニウム(Ru)プリカーサ(Ru CVD用材料)のリサイクルプロセスを共同開発したことを発表した。

これにより、従来、有価物として回収されることなく廃棄されていたRuプリカーサを、Ru金属に戻すことなく捕集・再精製し、再利用することが可能となる。

今回の共同開発では、TELがRu CVD装置でウェハに堆積しなかった装置内の残留物を回収する機構を開発し、田中貴金属が、回収された残留物を再精製し、再利用するプロセスを開発した。

半導体プロセスの微細化実現に向けてさまざまな開発が進められているが、微細化を実現するための課題の1つとして、微細配線へのCuめっき埋め込み性の改善がある。TELでは、Cuめっき下地に低抵抗でCuとの密着性が良いRu薄膜を施すことで、Cuめっきの埋め込み性を改善する提案をしている。

RuはPt原石中に10~20%含有されている貴金属で、主な原産国は南アフリカ。全世界のRuの年間産出量は約30t弱で、埋蔵予測量は約6000tと言われており、現在は安定的に供給されている。

2社は、さらなる低価格での安定供給を目的として、リサイクルプロセスの開発に着手していた。同技術の開発により、プリカーサコストが約20%低減することが可能となり、Ru CVDプロセスに要するCoC(Cost of Consumable:消耗品コスト)低減が可能となる。また、同リサイクルプロセスにより、新規プリカーサ精製時の排出CO2などを低減することが可能となり、トータルのCO2排出を約30%低減することも期待できるという。