「TOP500 Supercomputer Sites」は、通産36回目となるスーパーコンピュータ(スパコン)処理能力ランキング「TOP500」の最新版を公開した。

毎年6月と11月の年2回発表される同ランキングは、マンハイム大学のHans Meuer氏、米国エネルギー省国立エネルギー研究科学コンピューティング・センターのErich Strohmaier氏/Horst Simon氏、テネシー大学のJack Dongarra氏らが監修したもの。

今回のトップは、中国National Supercomputing Center in Tianjin(NSCC)のIntel Xeon X5670(2.93GHz)とNVIDIAのGPUを組み合わせた「Tianhe-1A」で、実行性能は2.566PFlop/s、理論ピーク性能も4.701PFlops/sとなり、実行性能がついに2PFlops/sの壁を超えた。

TOP500 2010年11月公開版のTop10。1位と3位が中国、2位、5位、7位、8位、10位が米国、日本が4位、仏が6位、独が9位にそれぞれランクインしている

また、中国のスパコンは3位にも前回2位だったNational Supercomputing Centre in Shenzhen(NSCS)の「Nebulae」がランクイン。こちらもNVIDIAのGPUを活用したもので、実行性能1.271PFlop/s、理論ピーク性能2.984PFlops/sは前回と同じ値となっている。

2位には前回、前々回とトップを維持してきた米オークリッジ国立研究所(ORNL:Oak Ridge National Laboratory)に設置された米CrayのJagaurで、実行性能は前回同様の1.759PFlops/sとなった。

注目は4位で、日本の東京工業大学が11月に本格稼動させた「TSUBAME 2.0」が実行性能1.192PFlops/s、理論ピーク性能2.287PFlops/sでランクインを果たした。なお、旧型機で退役したTSUBAME 1.2は今回、締め切り時に存在していたこともあり88位に記されており、TSUBAMEは前世代機、次世代機ともに100位以内にランクインしたこととなる。

5位には米ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)/National Energy Research Scientific Computing Center(NERSC)のHopperで、実行性能1.054PFlops/s、理論ピーク性能1.254PFlopsとなった。

上位5位の性能概要とこれまでのTOP500における性能向上の推移

6位は仏Commissariat a l'Energie Atomique(CEA)のTera、7位は2009年6月のランキングまで首位を守ってきた米Los Alamos国立研究所に設置された米エネルギー省国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)の「Roadrunner」で、ここまでが実行性能1PFlops/s超えを達成している。1PFlops超え7システムを国別で見ると、米国3、中国2、日本1、仏1という結果となっている。

また、TOP500全体でNVIDIAおよびAMD(ATI)のGPU、いわゆるGPUコンピューティング(GPGPU)を活用したシステムは11システムで、そのうち、NVIDIAが10、AMD(ATI)が1となっている。

左がアーキテクチャのシェア変遷、右がCPUのシェア変遷

なお、TSUBAME 2.0/1.2以外の日本勢は100位以内に、日本原子力研究開発機構(JAEA)のBX900が33位(前回22位)、東京大学(東大)のAGI Altixが42位、海洋研究開発機構 (JAMSTEC)の地球シミュレータが54位(同37位)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のFujitsu FX1が59位(同42位)、東大のT2Kが70位(同53位)、理化学研究所(理研)のRIKEN Intergrated Cluster of Clusters(RICC)が74位(同56位)、筑波大学のT2Kが95位(同71位)にそれぞれランクインしているほか、次世代スーパーコンピュータ「京」は建造中ながら170位にランクインした。