エルピーダメモリとSpansionは9月2日、チャージトラップ技術を用いた1.8V駆動の4GビットSLC(Single Level Cell)のNAND型フラッシュメモリの開発に成功したことを発表した。

エルピーダとSpansionが開発したチャージトラップ技術を用いた4GビットNAND型フラッシュメモリ

フラッシュメモリのセル構造には、トランジスタのゲート絶縁膜上に浮遊ゲートと呼ばれる領域を形成、そこに電荷を貯える「フローティングゲート型」と、窒化膜にキャリアを捕獲することで電荷を蓄える「チャージトラップ型」の2種類があるが、フローティングゲート型はプロセスの微細化が困難と見られており、20nm世代で限界を迎えると言われている。

一方、チャージトラップ型はフローティングゲート型と比べ、セル構造がシンプルでプロセスの微細化に対しても優位であると言われ、Spansionは自社のNOR型フラッシュメモリに「MirrorBit技術」として適用してきた。セル構造がシンプルであるため、チップサイズの小型化が可能となるほか、動作速度もフローティングゲート型のNAND型フラッシュメモリと比べ、読み出し速度は約2倍、書き込み速度は約15%高速になるという。

同NAND型フラッシュメモリは、エルピーダの広島工場で生産され、2010年第4四半期にサンプル品の出荷を開始、2011年第1四半期から量産出荷を開始する計画となっている。また、4Gビット品のほか、2Gビットや1Gビット容量の製品も開発を行っており、Mobile RAMと組み合わせたMCP製品として主に携帯機器向けに販売していくとしている。

一方のSpansionも2011年第1四半期にサンプル出荷を開始し、同第2四半期に量産を開始する予定としており、組み込みおよびワイヤレス市場向けたソリューションとして提供していく方針を示している。

また、両社では、今回の1.8V駆動品のほかに3.0V駆動の1G/2G/4Gビット品の開発も進めており、カスタマニーズへの対応に向けた製品の拡充を図っていく計画としている。