イマイチ捕らえどころのなかった先月に比べ、2010年6月の検索急上昇ランキングには世界的に注目された大きな話題に関連するワードが大量ランクイン。いつもはキレイなお姉さんの名前が多い画像検索も、今回は汗と涙の物語である。

2010年6月のGoogle検索急上昇ワード

■通常検索ランキング
順位 ■パソコン検索 ■モバイル検索
1位 iPhone 4 iOS4
2位 パク ヨンハ iPhone4
3位 World Cup 4 W杯
4位 piku ワールドカップ
5位 国分佐智子 父の日
6位 太田莉菜 FIFA
7位 FIFA サッカー日本代表
8位 宝生舞 サッカー
9位 小谷真生子 木村カエラ
10位 ドログバ iPad
■イメージ検索ランキング
順位 ■パソコン画像検索 ■モバイル画像検索
1位 はやぶさ やまぐちりこ
2位 後藤真希 中西里菜
3位 ワールドカップ パク ヨンハ
4位 南アフリカ 後藤真希
5位 大島優子 ワールドカップ
6位 ブラジル 大島優子
7位 Cristiano Ronaldo チワックス
8位 アルゼンチン わさお
9位 AKB48 板野
10位 futbol 板野友美
■その他の検索ランキング
順位 ■ニュース検索 ■動画検索
1位 琴光喜 パーティー ヘア アレンジ
2位 W杯 まつげ エクステ
3位 ワールドカップ セルフ マッサージ
4位 はやぶさ 華麗なる遺産
5位 日本代表 ほしのあき
6位 サッカー 後藤真希
7位 北朝鮮 板野友美
8位 ipad YUI
9位 iphone アンパンマン
10位 子ども手当 クレヨンしんちゃん
※本データは、Google Zeitgeistのアルゴリズムに基づき、日本における検索傾向を集計したものです。前月から検索量が増加しているクエリを抽出しています。提供/Google

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この7年で僕らはどれだけ変わったかな

PC版の急上昇ランキング1位は「iPhone 4」。遡ればこの4月、アメリカのブログメディア「GIZMODO」で報じられた開発機とみられるデバイスが世界のアップルファンを騒然とさせ、これが製品自体のサプライズ感に水を差したようにも見えた。しかしフタを開けてみれば、5月のiPadに続いて今回も店舗前にできた行列は長く、アップル新製品発売時の恒例イベントとして、多くのメディアが先頭に並んだ人や仮装した人の姿を報じた。今回はホワイトモデルの製造の遅れ、電波状態が不安定になるいわゆる「アンテナ問題」が明らかになるなど課題も見られたが、発売後3日間の売上げは世界で170万台に達し(7月16日の記者発表では300万台突破)、携帯電話業界に築いた独自のジャンルをより揺るぎないものにしたことは間違いない。

4位の「piku」は、PCおよびモバイル向けに展開されているクーポンサイト。単にクーポンを配るのではなく、ユーザーがソーシャルメディアを通じてクチコミを広げ、一定の人数が購入することで割引きが成立するという、いわば"団体割引"のクーポンを日替わりで提供するというのが特徴だ。ほとんどが5割以上(中には7~8割も)という思い切った割引率もインパクトがある。提供数量と期間を限定することで、ソーシャルメディアの特性である瞬発力を引き出し、一方で料金先払いのためクーポン提供者が"配り損"にならない、というよくできた仕組みである。

画像検索1位とニュース検索4位に入った「はやぶさ」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2003年(当時は宇宙科学研究所)に打ち上げた小惑星探査衛星。そのミッションと旅路の物語についてはここでは省くが、プロジェクトチームの尽力による称えられるべき実績は、長く塞いだ空気の漂う日本に感動の気持ちを思い出させてくれた。その気持ちが擬人化という形で画像検索結果にあらわれたのは、Google広しと言えども日本だけだろう。そういう大きなお友達はともかく、子供たちにとっては親の口座に振り込まれる1万数千円の現金より、はるかに明るく大きな夢や希望を与える存在となったことだろう。彼らのうちの誰かが、将来イオンエンジンで航行する有人探査衛星を開発し、また搭乗してくれることを期待したい。

動画検索では、2カ月連続で1位の「まつげ エクステ」が2位にダウンし、代わってトップに立ったのは「パーティー ヘア アレンジ」。ジューンブライドの披露宴や二次会に備え、華やかなアレンジを研究したのだろうか。4月に初めて「まつげ エクステ」がランクインして以来、美容関連のワードが毎月入っている。ヘアアレンジやメイクは多くの女性誌で扱われる定番コンテンツだが、そのテクニックを正しく伝えるには写真や図より映像というメディアが最も有利である事は間違いない。出版社が動画サイトに公式チャンネルを持てば、良いプロモーションになるのでは。また、今後は動画を掲載した電子書籍も違和感なく受け入れられていくのだろう。

おすすめリンク

宇宙航空研究開発機構(JAXA):夏休み期間中に回収されたはやぶさのカプセル等が展示される

8年前より強く速くなった、モバイルインターネット

モバイル急上昇ランキングは、アップルとサッカーワールドカップに染め上げられた。アップル関係では1位「iOS4」、2位「iPhone 4」、10位「iPad」。サッカーでは3位・4位に「W杯」「ワールドカップ」が並び、6位「FIFA」、7位「サッカー日本代表」、8位「サッカー」というワードが続いた。

他のランキングでもワールドカップやその参加国、選手名などが見られるが、ベスト10のうち5つがワールドカップ関連というのは特に多い。"ながら見"によるテレビとモバイルの親和性は以前から言われているが、今回はリアルタイムウェブによるサポーターの一体感・感動の共有を求めた人も多かったことだろう。2002年の日韓大会時には想像もつかなかった状況だ。また、今大会では日本時間の深夜~早朝に試合が行われたため、朝イチでその日(現地時間で前日)の試合結果を知ることにも活用されたものと思われる。

1位にiOS4がランクインしたのは、既存のiPhoneユーザーからの注目度を示していると言えるだろう。同ランキングはiPhoneからのアクセス(PC版の利用を除く)も含んでおり、現在NTTドコモがデフォルトでgooを、ソフトバンクモバイルがYahoo!モバイルを採用していることを考えると、Googleモバイルへのアクセスに占めるiPhone率は比較的高いと考えられる。一方、PCからのアクセスを集計するGoogle Insights for Searchでも「iOS4」の検索における「人気検索クエリ」で「3G」や「3GS」が注目されており、既存ユーザーの関心の高さを裏付けている。なお、それ以上に「jailbreak」が注目されていたということもまた、Googleの語る真実である。

Google Insight for Searchで検索クエリ「iOS4」を分析。地域別で検索ボリュームが多かったのはシンガポールや韓国、日本などのアジア圏(絶対量の比較ではないので注意) 詳細はこちら

世界的な話題が多数を占める中、5位にランクインしたのは「父の日」。4月のランキングで「母の日」が3位に入っていた際に、イマイチ影が薄い父の日がどうなるか気になっていたのだが、無事に5位を獲得した。全国のお父さん、よかったですね。

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英利集団(Yingli Solar):ピッチ脇看板で目立っていた中国のソーラーパネルメーカー