ココロの案内ロボット「I-FAIRY」が人前結婚式の立会人代表に

2010年5月16日(日)、皇居近くの東京・日比谷公園内にあるレストラン&ウェディング・日比谷パレスにて世界初の試みとなる「ロボット結婚式」が行われた。サンリオグループのココロが開発した身長135cmの少女型ヒューマノイドロボット「I-FAIRY(アイフェアリー)」が、柴田智広さんと井上聡子さんの人前結婚式の立会人代表をつとめ、両家のご家族や列席者の方々とともに2人の門出を祝った。ジューンブライドの季節も過ぎての掲載となってしまい大変恐縮だが、遅れ馳せながらレポートをお届けしたい。

「ロボット結婚式」が行われた日比谷パレス

屋上に設営された人前式の会場

「I-FAIRY」と、新郎・柴田智広さん、新婦・井上聡子さん

I-FAIRYは案内用途を想定したインフォメーションロボットとして、2009年11月に開催された「2009 国際ロボット展」のココロブースで発表。本誌にもレポートが掲載されているが、この時はまだ開発中で各種資料と頭部モックアップのみの展示だった。

その後、2010年1月に米ラスベガスで開催された世界最大規模の国際家電ショー「CES2010」で完成後、初公開された。これを皮切りにJETRO(日本貿易振興機構)の協力によるプロモーション活動が開始され、アメリカ国内の展示会やイベントで紹介された他、すでにシンガポールの科学館「Science Centre Singapole」への設置実績もあるが、日本国内メディア向けの公開はこの「ロボット結婚式」が初となった。

結婚式ではI-FAIRYも花飾りで"おめかし"していた

ココロは、シリコンの外装で人間そっくりに作られた「アクトロイド」シリーズや、博物館などでの展示用の巨大な恐竜ロボットなど、動く彫刻=「動刻」と銘打ったエンターテインメント系ロボットで定評のあるメーカー。これまでは等身大のリアルな外見、空圧式によるリアルな動作を売りとしてきたが、I-FAIRYはアニメから抜け出してきたような、いかにもロボットらしいデザインが特徴だ。

必要な機能から考えればインフォメーションロボットは人間型でなくてもよいという意見もあるが、あくまで人間とのコミュニケーションツールとして、身振り手振りが可能な人の姿にこだわり、台座に腰掛けたスタイルで両脚を持たせてある。

コンセプトイメージはその名の通り「可憐な妖精」。初期のイメージデザインでは羽もあり、より妖精に近いものだったが、実物の設計・検討を通じて現在のデザインに落ち着いたのだとか。ちなみに、ネーミングの"I"には「Intelligent」「Information」「Icon」といった意味が込められているそうだ。

ロボット結婚式の会場の様子

立会人代表として式をとりしきるI-FAIRY

さて、人前結婚式は、司会者が立会人代表としてI-FAIRYを紹介して始まった。I-FAIRYはまず「ただいまご紹介に預かりましたI-FAIRYです」とかわいらしい声で自己紹介。「はじめに新郎新婦のお2人より、結婚の誓いの言葉をお願いいたします」と、新郎新婦に結婚の誓約を促してみせた。その後も、指輪交換、ベールアップ&キス、結婚誓約書へのサイン、結婚成立の宣言と承認、というそれぞれの儀式でI-FAIRYは無事に役目を果たし、式はつつがなく進んだ。最後の「こんぐらちゅれ~しょん!」の声が妙に舌足らずで列席者から笑いも起きたが、おかげでより場が和んで大成功だったようだ。

動画
立会人代表を務めたI-FAIRYの動作その1。自己紹介、結婚の誓約(wmv形式 6.11MB 31秒)
I-FAIRYの動作その2。指輪交換、ベールアップとキス、結婚誓約書へのサイン(wmv形式 6.56MB 1分6秒)
最後の儀式である結婚成立の宣言と承認を終え、I-FAIRYは無事に役目を果たした(wmv形式 9.31MB 1分28秒)