ソニー・ディスクアンドデジタルソリューションズは、リップマン型ホログラムに1枚ごとに異なる個別ID情報をホログラムとして記録可能な独自のホログラム量産技術を開発したことを明らかにした。クレジットカードやICカード、正規品認証シールなどに用いることで、模造品や偽造品対策として従来よりも強固なセキュリティを実現するという。

今回開発された個別ID情報付きのホログラム量産技術は、ソニーの光記録技術とデジタル画像処理技術を基盤としたもの。また、その量産化・品質管理などには光ディスクの製造技術が応用されている。

ホログラムに対して観察者が相対的に、左右に動くと滑らかな立体画像・動画像が見え、縦方向に動くと個別ID情報が見える

従来、リップマン型ホログラムの量産は、マスターホログラム(原版)を光学的に複製するコンタクトコピーで行われていた。しかし同手法では、同一のものを大量に複製することは可能だが、1枚ずつ異なる情報をホログラムとして記録することができなかった。同社では、今回、開発した光記録の量産製造装置により、量産工程において原版画像に個別ID情報をホログラフィックに記録することに成功。同技術を用いることで、最大21桁の暗号化された固有ID情報が記録されたホログラムの量産を行うという。

開発したホログラムの画像(実写撮影)

また、マスターホログラム(原版)には、デジタル画像処理により1枚のホログラム上に100コマ以上の画像記録が可能な、ホログラフィック・ステレオグラム技術を採用。模型にレーザを照射して撮影する従来型のホログラム(模型ホログラム)ではできなかった、人物などの実写画像や映像に加え、フライングロゴ(3DCG)やアニメーションといったCGもホログラムで表現ができるため、広告・宣伝素材や販促物などに活用することも可能となっている。

ホログラフィック・ステレオグラム技術によるマスターホログラムの例(アニメーションがCG、実写などさまざまな表示が可能)

このため、同社では、ホログラム製品の原版制作・量産だけでなく、インターネットを利用した個別ID情報の真贋判定を迅速に行うための認証サーバーシステムの運用を計画しているほか、個別ID情報を利用した顧客情報管理や製品管理といったサービス提供も視野に入れたビジネスの開拓を目指すとしている。

アプリケーションとしての活用例

なお、同社では同技術をソニー製品の正規品認証シールとして導入を進めるほか、外販向けのサンプル出荷を5月中に開始する予定としている。