Infineon Technologiesは、最大150℃の環境温度でも動作する8bit MCU「XC800 150℃ファミリ」を発表した。同ファミリは-40℃~+150℃の範囲で、一切の制限なく動作する。同社は、従来こうした過酷な車載機器および産業機器向けに必要とされた、高価かつ複雑な冷却機構が不要になる効果的な代替品に最適としている。

同ファミリは、例えば自動車向けであればターボチャージャ、エンジン制御ファン、スロットル/バルブ制御、EPS、燃料/オイルセンサ、ウォータ/オイル/燃料ポンプなどの用途に利用できるほか、産業用向けではボイラーや各種温度の制御システム、あるいはモータ内部に搭載されるタイプのコントローラに利用できるとしている。 AEC(Automotive Electronics Council)によるAEC-Q100のストレステストに対し同ファミリAEC-Q100 Grade 0(-40℃~+150℃)の要求を満たしている。これによりエンジルーム内や過酷な環境における産業用の制御向けに最適なMCUとであるとしている。また同社によれば、XC800 150℃ファミリは各種センサやアクチュエータに近接して設置することが可能であり、従来の電子/機械式制御と比較して、より良い接続性や効果的なモータ制御、あるいは低コスト化などを実現できる。また熱シールドや追加の配線の必要を減らし、複雑さを減らすといった効果も車載向けシステムでは期待できるとも主張する。

XC800 150℃ファミリは、同社がこれまで提供してきたXC800 MCUファミリの拡張版にあたる。ベースは8051 MCUコアで、フラッシュメモリサイズ4KB~32KBまでラインアップされる。またオシレータや電圧レギュレータ、EEPROMやスーパバイザ回路などを内蔵する。さまざまなモータの制御に対応するため、それぞれに対応した製品が用意される。これらにはすべてCCU6(Capture/Compare Unit)が搭載され、PWM生成を可能にするほか、PWM制御時に高精度の測定や同期を行うための高速A/Dコンバータ、CANのノードとして動作するためのMultiCANモジュールが搭載される。

搭載されるオンチップCANモジュールはCANネットワークでの通信に必要なプロトコル処理のオフロードが可能であり、これによりCPU負荷を下げる事ができる。また16bitの三角関数ベクタユニットが搭載されており、FOC(Field Oriented motor Control)の制御に役立つとしている。

24/28/38pin T-SSOP、あるいは48pin QFPなどさまざまなパッケージで提供される。すでに最初のエンジニアリングサンプルとして、FOCサポート可能のXC886 Grade 0(24KB/32KB Flash)の提供を開始している。この製品の量産は2010年7月を予定しており、その他の製品は2011年に量産を開始予定である。