中部大学の超伝導・持続可能エネルギーセンターは、200mの超伝導直流送電実験に成功したことを発表した。
現在、世界のほとんどの送電線は交流だが、PCやテレビなどの電気機器は直流で駆動するため、AC(交流)をDC(直流)に変換する必要があり、変換時に電力のロスが生じていた。
しかし、交流送電が基本のため、超伝導送電の研究も交流が多いのが実情であった。ただし、経済産業省のデータでは、電圧275kVの送電を行った場合、従来の交流送電で送電損失は740kW/km、超伝導交流送電で同200kW/km、超伝導直流送電で同20kW/kmと試算されており、超伝導直流送電は効率的な送電方式として注目されていたが、同方法での送電に成功した企業や研究機関、大学などは皆無であった。
中部大学では2006年に同方法により20mの送電に成功しており、今回の200m送電の成功は従来の技術をより実用的なものへと近づけたものとなっている。
そのため、同大としても、今回の成功は送電損失を減らすことで発電設備の抑制に結びつくほか、太陽電池など直流で発電される発電設備から変換なしで送電が可能なため、送電ロスを減らすことが可能となるなど、分散型電源などの考え方にも適応できるものであるとし、データセンターなどへの適用のほか、世界の送電インフラとしての構築を目指した開発を継続して行っていくとしている。