OS基本性能から、仮想化環境まで、多岐にわたり機能改善が行われている「Windows Server 2008 R2」。すでにリリースから5カ月近くが経過しており、簡単な紹介記事も数多く出回っているが、同サーバが本当に使えるものなのか確信が持てずに周囲の反 応を見守っているシステム管理者は多いはずだ。

そこで、本誌はWindows Server 2008 R2の導入を5人のライターに依頼。その模様を体験記というかたちでレポートしてもらっている。

今回は、漆尾貴義氏によるIIS 7.5の続編だ。IIS 7.5では、ServerCoreで.NET Frameworkを動かせるようになったほか、IISマネージャーが大幅に強化され、構成エディターなど、さまざまなインタフェースが追加されており、今回はこちらも実際に試している。

それではご覧いただこう。

Visual Studioを利用したWebアプリケーションの配置

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早速だが、Visual Studio 2008で開発したASP.NETのWebアプリケーションを動作させてみよう。

まず、別マシンにインストールされたWindows 7とVisual Studio 2008を使用して、簡単なWebアプリケーションを作成してみた。とはいっても、テキストボックスに文字を入力してボタンをクリックすると、ラベルの文字が変わるという程度の簡単なものである。

Visual Studio 2008では、開発したアプリケーションをそのままデプロイする「Webサイトの発行」機能が使用できる。今回作成したサンプルアプリケーションを、「Webサイトの発行」を使用して、Windows Server 2008 R2上にコピーした。そして、IISマネージャーから、そのフォルダをアプリケーションへ変換した。

そしてWebブラウザでアクセスしてみたところ、エラーが表示されてしまった。これは、最初にIISを有効化したときに、静的なファイルをホスティング機能しか有効化しなかったためである。

そこで、サーバーマネージャーを使用して「ASP.NET」を有効化した。

それからもう一度WebブラウザでWebアプリケーションにアクセスすると、正しく動作することが確認できた。

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つまり、IISの有効化を行ったとしても、あくまでASP.NETの機能は切り離されており、それぞれを個別に有効化するまではWebアプリケーションが動作しない仕組みになっているというわけである。

かつてのWindows系サーバーOSであれば、「デフォルトで機能を有効化する」という振る舞いになっていて、そのためにセキュリティが甘いというイメージを持たれたこともあった。しかし、Windows Server 2003以降は、各機能が細かく分割され、それぞれを個別に有効化できるようになった。Windows Server 2003よりも多機能化したWindows Server 2008 R2においても、その思想はしっかりと継承されているということだろう。

ちなみに、Webアプリケーションの展開においては「Web 配置ツール」を使用することで容易に行うことができる(Web 配置ツールはこちらのページからダウンロードできる)。

Web配置ツールをインストールすると、IISマネージャーの右下にある[展開]メニューが追加される。

そして、aspxやdllなどのファイルだけでなく、データベースの設定なども含めた「パッケージ」の単位で、Webアプリケーションのインポートやエクスポートが可能になる。

また、Web配置ツールはVisual Studio 2010と連携することも可能なので、開発したWebアプリケーションを実環境に展開することも非常に容易になるのである。