仮想化による情報システムの信頼性向上技術

情報システムではシステムの安定稼動を目指し、2重系サーバなどを取り入れることが多いが、片方のサーバが故障した場合、復旧するまでの間は信頼性が低下するため、いち早い復旧が求められることとなる。そのため、業務ごとに予備専用のサーバを準備した3重系構成での対応や外部共有ディスクを用いた構成などが取り入れられてきたが、普段使用しないサーバを持つことなどは、システム構築コストなどの増加を引き起こす問題となっていた。

冗長性を持たせることで信頼性を向上できるが、システム構築コストなどの負担が大きくなってしまう

今回、同社では、仮想化技術を活用することで、サーバ群の空き資源(CPU、メモリ、ディスクなど)を用いて故障したサーバと同等の処理を可能とする代替環境を自動で構築し、2重系構成に復旧することが可能となる技術を開発した。同技術を活用することで、復旧に要する時間は50GBのデータを持つ仮想サーバ4台の場合において、1時間程度で済むようになるという。

仮想化技術を活用することで、故障サーバの代替を空き資源を活用して自動的に構築することが可能となり、冗長性の確保を実現しながらシステムの構築コストも下げることが可能となる

同技術では、仮想サーバの実行環境であるOSやアプリケーションのほか、代替環境の構築に必要となる復旧用データもすべて情報システムを構成するサーバ群の内蔵ディスクに格納している。復旧用データは、各仮想サーバでの共通のOS部分と固有のアプリケーション部分に分けて格納することで、必要なディスク用量を削減。結果として、外部共有ディスクを不要にできるほか、万一、共有ディスクが故障した場合でも、全業務停止のリスクを回避することができるようになるという。

有線・無線を統合したホームネットワーク技術

ネットワークの高速化により、さまざまなサービスがインターネット上で登場し、それによりさらに高速な伝送速度と帯域が求められるようになってきたが、家庭内においてこうしたサービスをより活用するためには、ユーザー宅の光回線終端装置(ONU)と電話局の局内装置(OLT )をつなぐ光アクセスネットワークの高速化と、外部からホームネットワークへの侵入を防ぐファイヤウォール機能など高負荷環境下での実行速度の高速化が課題となっていた。

ネットワークの活用方法が大容量転送を求める動画などへとシフトしていくことにより、帯域幅の拡張も求められていく

同社ではすでに、10G-EPONの試作システムを2009年に公開しているが、今回は、そのシステムに接続して、高負荷の通信環境下においても1Gbpsの実行速度が得られる専用のIP転送エンジンを搭載したホームゲートウェイの試作機を開発。これにより、実行速度が従来比で5~10倍高速になるほか、同ゲートウェイはフェムトセル小型基地局とも接続が可能なため、IP-STBなどのサービス端末を接続することで、1つの光ファイバ回線でPC、IP電話、テレビ、携帯電話などのマルチサービスを実現することが可能になるという。

ONUとホームゲートウェイ間を常に1Gbpsで転送可能なほか、その速度(1Gbps)をつなげた機器の台数にベストエフォートで割り振ることが可能。また、NGN的に例えばテレビのみ200Mbpsを固定で割り振り、後の帯域を接続された機器に応じて自由に割り振るなどもできるという

なお、同社では、今回開発した各種の成果について、研究開発を進めていくとともに、実用化できるものについては、早期に製品化を進め、市場に投入していくことで、より市場での強みを確保していくとしている。

すでに公開済みの技術であるが、ISSとのドッキングに成功したHTVのランデブー技術の紹介や、各種宇宙関連のコンポーネントなども展示されていた

こちらは2009年12月より福岡市のパワーデバイス製作所内にて稼働が開始したSiCの開発ラインで製造されたSiCパワーデバイスのウェハ(4インチ)。月産3000枚の製造能力を有し、約180名の人員が中・高耐圧MOSFETやSBDなどの開発にあたる。設備投資額は約35億円で、開発費は100億円が投じられる計画