筆者の所属する日立コンサルティングでは、SAP担当部隊に求められるスキルとして、

  • SAPスキル
  • コンサルティングスキル
  • ライフサイクルスキル
  • インダストリー/ビジネススキル

の4つのスキルが必要であると考えています。SAPスキル以外の3つのスキルについて簡単に説明します。

「コンサルティングスキル」とは、論理的思考力やドキュメント作成力、そしてコミュニケーション力などのコンサルタントとしてベースとなる基礎力と定義しています。

コンサルタントがSIerと決定的に異なる点は、クライアントの指示に従ってSAPを設定するだけが仕事ではないことです。クライアント企業に変革を与えること、付加価値を与えること - これこそがその存在意義です。クライアント企業にとって付加価値のある将来像(TO BE)を定義し、現状を把握し、現状と将来像との乖離(GAP)を埋めていく必要があります。そのためには、将来像の定義、課題の分析、クライアントとの円滑なコミュニケーション、説得術、わかりやすいプレゼンテーション、リーダーシップ、といったことが求められます。これらを総合して「コンサルティングスキル」と呼んでいます。

「ライフサイクルスキル」とは、クライアント企業の業務改革、そしてシステム導入を実施することになった場合のプロジェクト管理、要件定義、システム設計、システム開発、テスト、システム稼動準備、運用までの一連の作業(ライフサイクル)を推進するスキルと定義しています。クライアント企業の変革を先頭に立って推進するためには、プロジェクトの流れや各作業の進め方を知っていて、作業を推進できること、プロジェクトを管理できることが必要なのです。

「インダストリー/ビジネススキル」とは、クライアント企業の業種/業態(インダストリー)別の業務知識と定義しています。クライアント企業の将来像(To Be)を定義し、解決方法を提案するためには、クライアントと同等以上の業務知識が必要になってきます。さらに、業種/業態によって異なる特性まで理解した上で付加価値を提供できるところまでコンサルタントは期待されます(非常に難解ではありますが)。

SAP認定コンサルタント資格を取得したコンサルタントには、SAPスキルのさらなる向上だけでなく、コンサルティングスキル、ライフサイクルスキル、インダストリー/ビジネススキル」をバランスよく身につけ、クライアント企業から名指しで指名されるような一流のコンサルタントを目指してほしいと思います。