ルネサス テクノロジは11月12日、銀行やクレジットなどの金融決済カード、IDカードなどの多機能、高セキュリティが要求されるICカード向けに、16ビットCPUコア「RS-4」を採用し、接触/非接触通信対応のデュアルインタフェースとMIFARE Plusに対応する16ビットセキュアマイコン「RS-4デュアルインタフェースシリーズ」を開発、第1弾製品として「RS44X」「RS45X」「RS46X」を製品化したことを発表した。MIFARE Plus非対応版のサンプル出荷をRS44X/45Xを2009年11月より、RS46Xを2010年2月よりそれぞれ開始するほか、MIFARE Plus対応版のRS44X/45Xを2010年3月より、RS46Xを同6月よりそれぞれ開始する予定。

「RS-4デュアルインタフェースシリーズ」の第1弾製品となる「RS44X」「RS45X」「RS46X」

3製品は内蔵するEEPROMとマスクROM容量の違いで型番が分けられており、RS44Xは18KB、RS45Xは36KB、RS46Xは72KBのEEPROMを内蔵している。

RS-4コアは、従来コアである「AE-4」に比べ約5倍の処理性能を実現したCPUコアで、最高動作周波数20MHzを実現。暗号処理機能としては、従来のデュアルインタフェース品に搭載しているDES(Data Encryption Standard)コプロセッサを改良したトリプルDESコプロセッサ、RSA暗号演算用の剰余乗算コプロセッサに加え、AESコプロセッサを新規搭載したことで、暗号処理を高速に実行可能。また、高セキュリティ実現をサポートする周辺機能として、OSでのセキュリティ対策に有用な乱数を高速生成するための擬似乱数生成器や、光アタックに対する内蔵メモリデータチェック機能などのセキュリティ技術も採用している。

非接触インタフェースは、金融・ID・交通分野で実績のあるISO14443 Type-A/Type-B、FeliCaにマルチ対応している(従来品ではISO14443 Type-B、FeliCaのみ対応)ほか、リーダからの信号により自動でインタフェースタイプを識別するインタフェース自動切換え機能を搭載している。また、リーダからの電力を監視する機能を搭載し、処理速度を最適化することにより、非接触通信特性の向上と高性能化を両立している。

また、従来のMIFARE製品と互換性を持ち、新たに米国標準暗号AES(Advanced Encryption Standard)による暗号機能を搭載したセキュリティ強化版のMIFARE Plus(メモリサイズ:2KB/4KB)対応として、MIFARE Plus Sをサポート。将来的には、MIFARE Plus Xにも対応し、MIFARE Plus規格仕様のフルサポートを予定しているという。

なお、セキュリティ関連市場からは、製品やシステムについて、第3者機関によるセキュリティ認証取得に対する要求が高まっており、同社でも、情報技術セキュリティ評価基準の「Common Criteria(コモンクライテリア:CC)」にて、マイコン製品そのものだけでなく、設計や製造を含めた総合的なセキュリティ認証を取得してきており、今回の3製品ともにCCの最新版における、セキュリティ保証レベル「EAL5+」の取得が予定されている。