IDC Japanは9月16日、7月に実施した国内中堅中小企業ユーザー調査の結果を発表した。同発表によると、中堅中小企業(従業員規模:999人以下)における2009年度のIT投資予算は前年度から「減少する」(前年度比97%未満)と回答した企業の割合が43.6%、2010年度のIT投資予算で「減少する」と回答した企業の割合が41.4%で、前回2009年2月の調査の結果(2009年度:40.9%、2010年度:35.8%)と比較してさらに増加しているという。
一方大企業では、2009年度、2010年度共にIT投資予算の前年度からの増減の回答結果は改善しており、中堅中小企業と大企業との間でIT投資の回復度合いの差が拡大している。
一部の経済指標で明るい兆しが見えているが、業績が低迷する中堅中小企業が依然として多い。産業分野では、前回から低迷している製造・ITサービスなどに加え、今回は比較的堅調だった流通などでも大幅に悪化している。したがって2010年度も幅広い産業分野において中堅中小企業のIT投資は低迷が続くと予測されている。
今回の調査では、中堅中小企業における製品/ソリューションの利用動向、ユーザーニーズに関しても分析している。中堅中小企業におけるサーバ導入率は79.9%、外付型ストレージの導入率は60.0%となっている。しかし、従業員規模99人以下の小規模企業では、サーバ導入率が39.4%、外付型ストレージの導入率が49.4%と低い導入率にとどまっている。これより同社は、低迷する中堅中小企業向けハードウェア市場では、小規模企業での展開が重要と指摘している。
しかし、システム利用のメリットがないという認識から導入に消極的な小規模企業は少なくないため、「ITベンダーは、ユーザー企業に対して『売上拡大』のように経営課題の解決につながるような利用するメリットを認識しやすい製品/ソリューションを提供することが、中堅中小企業向けハードウェア市場拡大に向けて必須となる」と、同社ITスペンディング マーケットアナリストの市村仁氏は分析している。