三菱自動車は18日、スギの間伐材を主原料とする熱硬化性樹脂材料「液状化木材フェノール樹脂」を開発し、自動車部品として製品化すると発表した。同樹脂は耐熱性が高く、射出成型が可能。第一弾として7月1日より「カップ型灰皿」を製品化する。同社では、木材を原料とする同種樹脂の自動車部品への応用は世界初としている。

「液状化木材フェノール樹脂」製のカップ型灰皿(試作品)

開発にあたり、京都大学名誉教授 白石信夫氏が発明した高温で木材粉末にフェノールを反応させる液状樹脂化技術を利用。木材を射出成型が可能な液状樹脂に変換し、各種充填材や硬化剤等を配合。自動車部品で要求される耐熱性や難燃性などの仕様に適合させることに成功したという。オイルフィラーキャップ、プーリー、断熱材などエンジンルーム内の耐熱樹脂部品としての利用が可能なほか、電機絶縁性も高いためモーター部品など電機部品への応用も考えられるとのこと。同灰皿でライフサイクル全体でのCO2排出量を試算したところ、従来の石油由来樹脂と比較して約16%の削減を達成したとしている。

同社では、カーボンニュートラルとされる植物由来材料の研究を行い、石油由来材料に変わる新材料の開発を推進。開発技術の総称を「グリーンプラスチック」と名付けて環境に配慮した自動車用部品の実用化を目指すとし、今回の樹脂材料も「グリーンプラスチック」の成果とのこと。本技術による間伐材の有効利用と付加価値向上が、国内山林再生の一助となるのではとしている。