NECエレクトロニクスは5月11日、2008年度(2008年4月~2009年3月)の決算概要を発表した。売上高は前年度比20.5%減の5,464億7,000万円、営業損益は前年度の50億9,400万円の黒字から683億5,500万円の損失を計上。また、純損益は159億9,500万円の損失から826億2,500万円の損失へと赤字幅が拡大した。
この決算内容について、同社代表取締役社長の中島俊雄氏は、「2008年度第4四半期(2009年1~3月)の売上高、営業損益ともに同第3四半期決算発表時に公表した業績予測の下方修正よりも悪化した」ことが最大の要因としている。同第4四半期だけの売上高は、前年同期比48.5%減の855億円で、前期比でも32.8%減と大幅な下落となっており、営業損益も533億円の損失、営業利益率はマイナス62%と、「四半期別の業績で見た場合、過去最低の結果」(同)となった。
同第4四半期のプラットフォーム(セグメント)別の売り上げは、SoCが前四半期比約30%減となる390億円。MCUが同約33%減となる208億円。ディスクリートが同約42%減となる208億円となった。この内、為替差損は55億円発生している。また、営業損益は生産減にともなう工場の稼働率の低下(73%→43%)やたな卸しのスリム化といった体質改善の前倒しなどの影響などの影響も含まれているという。
このため、通期のプラットフォーム別売り上げは、SoCがゲーム系やBlu-Ray向けが堅調に推移したものの、全般的には減収となり前年度比約11%減の2,225億円。MCUが市場の縮小に伴う減収となり同約21%減の1,418億円、ディスクリートも汎用品を中心に在庫過剰の憂き目に会い減収となり同約29%減の1,574億円といずれも2桁の減収となった。
これに伴い、各種キャッシュフローは営業キャッシュフローが69億円の赤字となったほか、投資キャッシュフローも493億円の赤字となり、フリー・キャッシュフローは562億円の赤字となっている。
2009年度の見通しについては、第3四半期の決算時に発表した600億円の固定費削減をさらに300億円追加となる900億円に増加させる施策を実行する。具体的には、設備関連費用の効率化で約220億円、2008年度に前倒しした人員削減効果や工場の閉鎖などによる生産関連で約300億円、研究開発に効率化などで約200億円、その他費用の効率化で約80億円としているほか、「想定よりも悪かったことを踏まえた緊急施策によるコスト削減として、賞与の減額や緊急費用削減の実施により約100億円の固定費を削減する」(同)とする。
これにより、売上高は前年度比12.2%減(内半導体売り上げのみでは同11.8%減)となる4,800億円(半導体のみで4,600億円)、営業損益±0円、純損益90億円の損失を見込む。
各プラットフォーム別の売上高では、SoCがデジタルコンシューマ向けの「EMMA」が増収の見込みとなっており約5%の減収に止まるものの、MCUが「汎用マイコンはアジアを中心に回復が期待されるほか、自動車も各地域における政府の取り組みなどもあることから回復の期待ができる」(同)としつつも、自動車、汎用ともに約10%のマイナス成長が見込まれているほか、ディスクリートについても全般的に市場の下落傾向に合わせる形で約20%程度のマイナス成長を予測している。
なお、同社では、同発表に併せて、社長の交代を発表。6月25日付けで取締役執行役員常務の山口純史氏が同社代表取締役社長に就任することが内定した。これについて中島氏は「社長としての経営責任は前年度も赤字ということもあり感じているが、ただ、それだけでの交代ではなく、従来とは別次元で直面している現在の困難な局面に対し、立ち向かっていけるだけの布石とした」としており、構造改革を進める上で、経営陣そのものの数を従来の8名体制から4名へと減らし、決定事項を最短でやりぬく体制に変化させること、ならびに「ルネサス テクノロジとの統合を踏まえた、3~4年先を考えての決断」(同)としている。
なお、新社長に就任予定の山口氏はルネサスとの統合に対し、「"最強の敵"は"最大の味方"になるという考え方ができる」とし、「統合に向けて全力を尽くして行きたい」と抱負を述べた。