今回紹介するのは画像共有サービスの「Flickr」から画像を検索する『retrievr』です。この画像検索サービスの特徴は、テキストではなくラフスケッチや画像ファイルから、類似する画像を検索するという点にあります。その場でマウスやペンタブレットを使って簡単なラフを描くと、それに近い画像が検索されて表示されます。ラフは、精密な絵ではなく簡単な落書き程度のものですが、近い色や形状の画像が列挙されます。
同様に、ディスク内の画像やWeb上の画像をアップロードして類似する画像を検索することもできます。しかし、精密な画像であっても同じ対象が検索されるほど精度の高いものではありません。あくまで、色や形状が似ている画像が検索されます。テキスト検索のように明確な目的をもって画像を検索するのではなく「なんとなくこんな形」という曖昧な目的の検索に使えます。
既存の画像や動画の検索サービスは、動画や画像にリンクしているHTMLページのテキストなどから、メディアとテキストを関連付けています。今後も、当面はテキスト検索が中心であり続けることには変わらないと思いますが、retriverのような非テキスト型の検索サービスは、未来の検索サービスの可能性のひとつでしょう。
テキスト検索の最大の問題は、検索ワードを理解していなければならないことにあります。漠然としたイメージや、名称不明の何かを適切に検索するにはテクニックが必要です。目にした映像や耳にした音の名前が思い出せないとき、テキスト検索でそれが何だったのかを調べるのには工夫が必要です。
画像や音から、類似するメディアを検索するサービスが実用的なものになれば、現在のテキスト検索サービスを補助する機能として期待できます。また、携帯電話やiPhoneのようなタブレット機能を持つ小型のデバイスであれば、テキストよりもラフスケッチや音声入力による検索のほうが便利になるかもしれません。
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