ミック経済研究所が2月19日に発表した、主要ITベンダー57社を対象に調査した「パッケージ中心型&スクラッチ型ソリューション市場2008」によると、2008年度のITソリューション市場規模は対前年度比2.7%増の11兆7,703億7,900万円となる見込みであり、パッケージ中心型とスクラッチ型に分類すると、スクラッチ型が全体の72.6%を占めるもようだ。

ITソリューション市場の規模推移

パッケージ型ソリューションとは、顧客のシステムの中心となるアプリケーション部分をアプリケーションパッケージソフトをベースとして開発するソリューションを指し、パッケージソフトをカスタマイズせずに導入する場合に加え、これをコアに大規模なカスタマイズやアドイン開発を行う場合も含む。

スクラッチ型ソリューションとは、顧客のシステムの中心となるアプリケーション部分を、アプリケーションパッケージソフトをベースとせずに一から開発するソリューション(いわゆる「手組み開発」によるソリューション)を指す。

ミック経済研究所の調査では、欧米ではパッケージ型ソリューションが浸透しているのに比べ、日本のユーザー企業では依然としてスクラッチ志向が強いという。業務フローをパッケージ製品に合わせるのではなく、システムを業務フローに合わせて構築することを好むためと同研究所はみている。

パッケージ中心型にはスクラッチ型と比べて不採算案件となる比率が低く、いわば「平均打率が高い」という特長があり、シフトは今後も続くとみられるが、急速に比率を上昇するまでには至らず、2013年度の時点でもその比率は全体の31.3%にとどまるとミック経済研究所は予測する。

2008年度と2013年度のパッケージ型/スクラッチ型構成比の比較

ユーザー企業にとってパッケージ型にはスクラッチ型よりも安価で短納期とのメリットがあるため、IT投資の抑制によりパッケージソフトベースのシステム構築ニーズが増える可能性を指摘するパッケージベンダーは多いという。一方、開発サービスを提供する企業では、ユーザー企業はIT投資を抑えるために新規システム構築ではなく、既存システムの修正・機能追加で対応する可能性もあるとみているという。