昆虫のコンディション管理

佐藤氏は、昆虫が最適最良の環境で飼育されるように最大限の配慮をしているという。

「彼ら(昆虫)自身が望んでいるわけではありませんが、昆虫は我々の研究パートナーなので、可能な限りの待遇を心掛けています」(佐藤氏)

具体的には、温湿度を毎日チェックし、個々の昆虫のコンディションも観察している。さらに、実験後に引退生活を送る者へは次のようにケアしている。

「実験後は電極を挿入した個所の組織が乾燥するのを防ぐようにしています。完全な治癒とはなりませんが、少しでも損傷が広がらないように行っています。とにかく実験後も彼らが快適に過ごすことができればと思っています。我々側の身勝手な話ですが」(佐藤氏)

開始・停止・上昇・下降・左右旋回など基本的な飛行制御が可能となった今、佐藤氏の目は制御メカニズムの解明に向いている。

「工学的には飛行制御を成功しましたが、理屈や機構を神経生理学的に解明していく必要もあります。また、左右旋回については流体力学的な裏付けが必要です」(佐藤氏)

研究はさらに大きな壁に向かうことになるが、今後も昆虫たちの力を借りて"飛び"越えていく考えだ。

高速カメラで撮影した離陸の瞬間。背中に装着されたシステムが飛行開始のコマンドを甲虫に与えている