Green June Beetleが飛んだ日

Green June Beetleを使っての最初の成果は、飛行の開始だった。脳や視神経に適切な電気信号を印加したところ、望み通り飛び始めた。

「関数発生器から電気信号を送ったところ、翅が開いて高速に振動し始めました。何度も確かめた結果、明らかに電気信号と同じタイミングで飛行を開始することが分かり、とにかく興奮しました」(佐藤氏)

成功したのは金曜日。土日で再現性を確認し、飛行開始の映像を記録した。そして、月曜日、すぐに教授とミーティングして、彼を驚かせた。

「Maharbiz教授はいつも明朗快活なのですが、映像を見せたときは、いつも以上に興奮していました」(佐藤氏)

その後、マイコンを使って、飛行開始と停止を繰り返す実験にも成功。上昇・下降に加えて左右へ旋回させることも可能になった。

関数発生器からさまざまな電気信号を送り、飛翔の様子を観察しているときの様子

さらに無線信号を送受信できるマイクロシステムを開発し、佐藤氏の研究は昆虫の飛行を遠隔操作する段階に入った。そして、本稿の冒頭で紹介したように、今では、基本的な飛行制御ができるまでになった。

>> 学会で成果発表へ