日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)は2月9日、同社のUNIX「HP-UX」の発売25周年を記念して、都内で「HP-UX25周年記念イベント」を開催した。同イベントで行われた講演から、発売から25年が経った現在も開発が続けられている同製品の最新動向と開発戦略をお届けしたい。

オープニングに登場した同社エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部長を務める上原宏氏は、「昨今の経済不安を考えると、企業にとって当然、ITコストの削減が最重要課題となる。その実現にあたって、信頼性と可用性を維持しながらコスト削減に貢献できるHP-UXはうってつけの製品。当社としては、IntegrityサーバとHP-UXの組み合わせで、企業のITコスト削減を後押しして行きたい」と、HP-UXが不況に苦しむ企業にとって有益な製品であることをアピールした。

米ヒューレット・パッカード Mission Critical Business Solution Lab HP-UX Kernel Lab Lab Managerのデイビット・フライデンダール氏

続いて、米ヒューレット・パッカード Mission Critical Business Solution Lab HP-UX Kernel Lab Lab Managerのデイビット・フライデンダール氏が、HP-UXに関する講演を行った。同氏は同製品の初期開発のメンバーで、I/Oサブシステムの開発を担当していたという。

HP-UXの最新事情として、「インストール実績が100万台超えていること」「アジアやラテンアメリカなど成長が著しい新興市場において売上が好調なこと」「過去25年にわたって数十億の投資が行われており、現在も1,000人の技術者が開発に携わっていること」などが紹介された。

またフライデンダール氏は、同社のCEO兼社長のマーク・ハード氏が「HPではさまざまなエコシステムを開発しているが、HP-UXがその基盤となっている」と語っていることを明らかにした。

HP-UXの現在のバージョンは11i v3。同製品は約3~4年ごとにメジャーリリースが提供されることになっており、2001年にv1、2003年にv2、2007年にv3がリリースされている。

次期メジャーリリースのバージョン4は「ゼロダウンタイム仮想化技術」をテーマに管理機能・セキュリティ・可用性の強化に重きを置いた形で開発が進められており、さらに次のバージョン5は「次世代エンタープライズ・コンピューティング」というテーマの下、詳細を計画中だという。「OSの寿命は10年~15年と非常に長い。だからこそ、ビジネスの先行きを十分見据えて、HP-UXの開発を行っている」(フライデンダール氏)

HP-UX 11iの開発ロードマップ

HP-UX 11i v3はリリース以来、3回のバイナリ互換アップデートが行われている。次の4回目のバイナリ互換アップデートでは、仮想マシンのマイグレーション機能「Live VM migration」、クラスタソフトウェア「HP Metroclusters」モジュラーパッケージへの対応などが予定されている。

フライデンダール氏は、「ビジネス上の課題は時が過ぎても変わらない。つまり、企業はこれからも"ITコスト削減""省エネ対策""ITリソースの有効活用"などに取り組んでいかなければならない。こうした問題の解決に有効なHP-UXはこれからも企業にとって不可欠なITなのだ」と、HP-UXの将来性を強調して講演を締めくくった。