トータルソリューションとしてFPGAを提供

Arria II GXは、LTEやWiMAX向け機器のCPRIやネットワーク機器のGPON/XAUI、放送機器や画像処理機器向けのトリプルスピードSDIなどのプロトコルをサポートしており、同社ではStratix IVファミリやHard Copy IVと組み合わせて、「基地局のMultiservice Provisioning Platform(MSPP)にStratix IV GT、サービスプロバイダのエッジルータや有線のエンタープライズ・ネットワーキングのルータ/スイッチなどにはStratix IV GX、ワイヤレスのにおけるベースバンド処理などにはHard Copy IV、中継基地局における固定回線用Multi-Service Access Node(MSAN)や無線回線の中継機などにはArria II GXといった具合に、ネットワークのインフラ全体に向けてアナログ部分以外をトータルサポートすることが可能となる」(同)とする。

ネットワークインフラの各所にそれぞれ適したFPGAを提供することで、幅広いニーズへの対応を狙う

例えば、100GbE向けラインカードの100GイーサネットMAC、ブリッジFEC、Interlakenの3つを1個のGTで代替できるほか、Remote Radio Head(RRH)のシステムに対しては、Tx DAC、Rx ADCおよびMIMOアナログRFといったアナログ部分以外のすべての回路をArria II GXで代用することができ、なおかつ消費電力は5W以下に抑えることも可能だという。

100GbEラインカードへの適用例(左)とRRHのシステムインテグレーション例(右)

さらに、ネットワーク以外の機器としては、例えば1080pプロカメラ向けイメージングプロセッシングとして、デジタル・エクステンダや色調補正などの部分をHard Copy IVでASIC化し、フォーマットの変更やノイズ制御、スタビライザなどの部分をアプトプット・プロセッシングFPGAとしてArria II GXで対応することで、CCDからの入力をADコンバータを介した後、2チップの処理だけで済ませることも可能になるという。

1080pプロカメラのイメージプロセッシングへの適用例

こうしたネットワーク以外の部分についてもBiran氏は、「どのマーケットにもトランシーバが使われれば製品を提供していく。ただ、GTはとてもハイエンドな製品なので使用領域は限られてくるだろうがStratix IV GXとArria II GXで幅広い分野をカバーしていく」とする。

また、そうなると気になるのは、同社のローエンド向けFPGAである「Cyclone」シリーズにもトランシーバが乗ってくるかどうかだ。もしCycloneにトランシーバが乗れば、FPGAが適用できる領域は格段に広まる可能性がある。これについては、「トランシーバ搭載FPGAがターゲットにしている領域では65nmプロセスでは信号処理の性能などの問題から十分な性能が出てこないため、現状のCycloneシリーズではメリットを出せない」(同)と現状では難しいとの見方を示すが、「ただし、将来的にはわからないのも事実だ。もし、1Gbps前後でも良いというアプリケーションが多数あるのであれば、それに対応するために出すかもしれない」(同)との希望を語った。

なお、Stratix IVにはASIC化を図るHard Copy IVが用意されているが、Arria II GXにも似たようなASIC化サービスを用意するのか、ということを聞いて見たが、「Arria II GXは、FPGAの時点でコストも消費電力も性能もかなり最適化を行った製品であり、それをASIC化したところで、大した効果は見込めない」(同)としている。