2009年は勝負期前の仕込み時期


――(2008年)12月にはWindows Live Wave 3(Windows Live サービスの大規模アップデート)がローンチされましたが、Windows 7はもう少し先ということになるとバージョンの足並みが揃うまでは、やり辛いという点はありませんか

堂山氏 そうですね。Windows 7についてはすでにある程度の技術が公開されていますが、その先にはWindows Mobile 7(次期バージョン)の話が絡んでくる。その辺のストーリーを盛り込んだ携帯プラットフォームとのシームレス化の話の展開にはまだ1~2年掛かるので、2009年は勝負時期に向けての仕込みの時期と捉えています。Windows Liveを軸にVistaやMobileを繋げたサービス提供をしっかり考えて行くということです。「Windows Life Without Walls」はテーマとしては正しいが、そこに合わせたキャンペーンやマーケティングを見据えていかなければと思っています。具体的なシナリオとしては、高校生を含めた携帯電話世代の若い年齢層向けや女性向けのモデルなどを少なくとも3つは出して行きたい。

――Windows Liveでの収益モデルは?

堂山氏 コマースにも興味があるところだが、今は何しろまだエントリーポイントができていない状態なので……。そこはコマース、コミュニティサイト、他のポータルサイトと手を組んでWindows Live IDを活かしていきたい。人海戦術ではないが、「マイクロソフトって提案型でいろいろと持ってくるね」と言っていただけるくらいに(社内から)人が出ていかないと相手も乗ってきてはくれないと思っています。

――提供するサービスをブレークスルーさせるための施策は?

堂山氏 ひとつにはWindows Mobile OSを使ってのユニークなサービスの提供が必要だと考えています。Liveに繋がるのか、他にも何かに繋げるのかは勝負どころですが、まずはLiveのコンテンツをうまく連動させ、お客様にはシームレスに感じてもらえるようにしたい。基本は"Windows Mobile端末を持っていると、(携帯キャリア用ネットワークにとらわれずに)PCのWebではこんなことができる"ということを明確にアピールできることだと考えています。

――昨年の新Windowsブランド戦略やフォトシェアリングの展開を見ていて、"長年、技術を売りにしていた会社が、時代の流れでサービスを売りにするようになって、まだ戸惑いがあるのでは?"と感じていた。そこを最後に問いかけてみると、堂山氏自身も「Windows LiveやWindows 7の話題など、どうしても製品に偏ってしまう傾向があるので、そこから先の長持ちがしなかった」とのことだ。今年はなんとしても技術以上にサービスが売りのコンシューマー事業を目指す構えのようだ。

コンシューマーニーズにフィットした斬新な企画、今まで以上の積極性と提案型、コミュニティとコミュニティを繋ぐコミュニティサービス展開……、Windows Vista、Windows Live、Windows Mobileの「Windows 3兄弟」は、2009年どんな活躍を見せてくれるのか。コンシューマー&オンライン・サービス事業の飛躍に向けては、Windowsブランド下での"サービス力"に加え"メッセージングの力"が問われることになりそうだ。

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