新組織立ち上げは80%達成、サービス企画がまだ弱い


――2008年の目標は達成できましたか?

堂山氏 新規のグループ(コンシューマー&ネットワーク事業部)を組織として立ち上げることが目標でしたが、達成度は80%程度と感じています。残りの20%はサービスモデルの部分ですね。日本では、マーケティング力、商品知識力、技術の使い方を考えられる力はあるが、"消費者のニーズにあったモノ"を作り上げるという本当の意味でのサービス企画をできる力が足りない。

パートナー企業と話している中で、マイクロソフトとして彼らの技術に付加価値を与えられるようなサービスを提案していきたいという思いを強くしています。PCと携帯電話とWebを繋げたいとは誰もが思っているが、どこから入っていけばいいのかを悩んでいる。総合的にマイクロソフトを巻き込みながらやって行きたいという(パートナー企業からの)意志も感じているが、正直すべてには応えきれていないというのが実状です。

――2009年の部門としての強化部分はそこからと?

堂山氏 2008年は組織を立ち上げるだけで精一杯で、正直余裕がなかった。"フォトシェアリング"のようなサービスモデルは何十、何百となければいけない。これからはファッションやバラエティといったジャンルとコラボした製品やサービスも必要でしょう。そのためには企画を専門にやる部隊を作りたい。社内にはエッジの効いた人材もいるが、外部の人材も検討して専門家集団を揃えたいと考えています。2009年に出していく新サービスのターゲット(利用者)がどこなのか。焦点がぼやけないためにも担当付けが必要だと思っています。

Windows Live上でのフォトを中心としたコミュニティ作り


――Windowsブランドを使ったサービスの提供、その先には何があるのですか? 2009年の構想の具体例があれば聞かせていただけますか

堂山氏 サービスはひとつのきっかけに過ぎません。"フォトシェアリング"であれば、「こんなに大容量のデータを手軽にアップロードできますよ」で終わるわけではない。肝心なのはフォトではなくて、その先のコミュニティを作りたい。Webコミュニティと言えば、すでにブログや「mixi」があるけれど、Windows Live上ではフォトを中心としたものを考えています。

――Windows Liveの新版(Wave 3)では、「Flickr」や「Twitter」といった他社サービスのフィードを表示する機能が付きました。マイクロソフトが考えるコミュニティというのは、点在しているWebコミュニティを繋げていくイメージと考えて良いのでしょうか?

堂山氏 見え方としては正しいと思います。ただ、私たちとしては、Windows Liveを使っていただくにはどうしたらいいのか、を考えています。そのために今は、"フォトシェアリング"というものが、コミュニティを作るうえでは分かり易いのではないかということです。フォトシェアリングをなぜマイクロソフトがやるの? と言われれば、フォトフレームやデジタルカメラ、ゲーム機などフォトを扱うデバイスが多様化する中で、"デバイスを選ばない"というユーザー側のメリット(利便性)を提供できるのがWindowsブランドだと考えているからです。

――堂山氏は、このマイクソロソフトならではのコミュニティ作りを促進し、ユーザーの利用形態を活性化させるためにもフォト用のサーチ機能を強化したい考えのようだ。「私は技術屋ではないので」と前置きをした上で、「アップロードされた写真に、雪、寺、山といったマークを入れた検索機能で、利用者が写真を通じた趣味や嗜好の繋がりから新しいコミュニティができる」といったことを想定しているとも話してくれた。「日本のSNSサービスとタイアップしてもいいし、その部分には、多分これから捻じ込んでいくところ」だそうだ。