「導入後はテストと検証を少しずつ行っていきました。いきなり本格的に動いているシステムを仮想環境へシフトするのではなく、テストサーバを立てて、そこで検証しながら移行していくというやり方です」と郷氏は語る。ステップバイステップで慎重にシステムを移行させていったところ、かなり良好な結果を得ることができたのだという。そこでクラリオンでは、2008年8月に本格的にシステムの統合を行うことになった。

「実際の統合にはVMware Capacity Plannerという、既存全サーバにおける現状のCPUやメモリ等の使用率、DiskのI/Oなどを測定するツールを各社の協力を得ながら利用し、仮想基盤の対応可能範囲をアドバイス頂きながら順次仮想化していきました」と郷氏。テスト移行に加え、実稼働時のハードウェア負荷も計算しながら作業は進んでいった。慎重を期したことが功を奏し、実際の移行作業中にソフトウェア的なトラブルはまったく起きなかったという。

「仮想基盤とはいえ、ホストマシンからストレージまで、大元を構成しているのは物理的な機械ですから、その部分に関しての不具合リスクは純粋に物理サーバを導入する際と同様の考え方をする必要があるとは思います。しかし、VMwareそのものがトラブルを起こすことは無かったですね」と中村氏は振り返る。同時に「何か問題が起こっても、ネットワールドさんのヘルプデスク『TEC World』に相談すると、すぐにレスポンスが返ってくるため、サポートも頼もしかったです」と同氏。

こうした移行作業の結果、現在では検証・構築中のポータルやワークフローのシステムを構成するサーバ群、システムやユーザーデータ間を仲介・連携させるEAI(Enterprise Application Integration)ツール、Active Directory ドメインコントローラシステムや資産管理ソフトウェアなど、合計20台の仮想マシンがVMware上で稼働している。

統合後のシステム構成図