「神舟7号」と「ファルコン1」の成功
まるで、この会議に合わせたかのようなタイミングで、9月27日に中国の有人宇宙船「神舟7号」で中国初の宇宙遊泳に成功し、9月28日にはアメリカのSpace Xが自社開発ロケットの「ファルコン1」の打ち上げに初めて成功した。
前者は国家の威信をかけ、国家予算を投入した伝統的な「国家宇宙開発」であり、後者はIT長者の自己資本による「民間宇宙開発」である。国家のための宇宙と民間のための宇宙。この両者が同時に違和感なく存在しているというのが、21世紀初頭の宇宙開発の様相と言えよう。これがどう変化していくかをしっかりと見極めたいところである。
さて、SpaceXの成功は、英国の宇宙開発にも関係がある。2005年にSSTLは株の10%をSpaceXに売却している。ここに、SSTLの戦略とビジョンが垣間見える。衛星ビジネスで成功するには、ロケットをおさえるのが肝心である。衛星のアキレス腱は、打ち上げロケットであるといってもいい。欲しいときに打ち上げてくれるロケットを確保できなければ、衛星ビジネスは成立しない。また、どんなに安く衛星を作っても、打ち上げ費用が高ければ全体コストははね上がり、利用料も高くなってしまう。SSTLはSpaceXに株を譲渡して関係を強化しておくことによって、SpaceXの安いロケットを優先的に使うことができる。SSTLにとって、SpaceXの成功は大変喜ばしいことなのである。
ヴァージン・ギャラクティックの新事業
英国の宇宙開発を語るのに忘れてならないのは、ヴァージン・ギャラクティック。年間40億ポンドの総売上高を誇るヴァージン・グループのひとつで、「宇宙旅行」を販売中。まだ宇宙旅行を実施したことはないが、すでにたくさん顧客もいるし、宇宙旅行用の訓練も開始している。そのヴァージン・ギャラクティックが、なにやら重大ニュースを発表するというので、早朝の講演を聞きにいってみた。
内容は、気候変動関係の調査のために、米国海洋大気庁(NOAA)にヴァージン・ギャラクティック社が協力するという合意書を取り交わしたというものだった。将来的には、民間宇宙船コンテストX Prizeを獲得した「スペースシップ1」の技術をベースとした「スペースシップ2」を使っていきたいとのこと。
ヴァージングループの創始者で会長のリチャード・ブランソン卿もビデオで登場。「地球温暖化の問題は、ヴァージングループにとって、とても重要なことだ」と強調していた。この後、展示場の同社ブースで記者会見をするというので、もっと詳しい話を聞きにいった。シニアアドバイザーのジョージ・ホワイトサイド氏によれば、このコラボレーションのそもそものきっかけは、カリフォルニア工科大学の方が、NOAAの研究グループと話すようにヴァージン側に勧め、とんとん拍子で話が進んだのだという。具体的には、大気サンプルを地上に持ち帰って、二酸化炭素などを詳細に調べることを考えており、これによって衛星ベースの測定の較正にも使えると見込んでいるようだ。
ヴァージン・ギャラクティックは民間企業。私企業として生きて、利益を出していかなければならない。宇宙旅行、科学者へのサービス、宇宙飛行士のトレーニングを事業の三本柱として、ビジネスモデルを考えているという。今回の実験を、科学者へのサービスで必要とされることを学ぶことにも役立てたい意向を示していた。NOAAとしては、調査データを得る新たなプラットフォームができることで、調査の精度をあげられると歓迎している。



