Google Koreaは12日、韓国のブログ会社「TATTER & COMPANY」(以下、TNC)を買収すると発表した。Googleが韓国企業を買収するのは、これが初めてだという。

TATTER & COMPANYのロゴ

TNCは「設置型ブログ」ツールで有名な韓国企業だ。設置型ブログというのはその名の通り、ユーザー自らが独立した形態のブログを設置できるサービスを指す。サーバに直接自分のブログを設置する形なので、設置にやや手間はかかるものの、ブログのデザインや使い方、アドレスなどは全てユーザーの自由となる。

逆にポータルサイトや大抵のブログ専門サイトでサービスされているものは、デザインや使い方などは統一されるが、使い勝手が簡単という長所がある。

TNCはこの設置型ブログサービスや設置ツールを提供するメーカーとして、韓国でもっとも有名な企業の1つだ。2005年に設置型ブログツールの「TATTER TOOLS」を開発しており、2006年には、ポータルサイト「Daum」を運営するDaum Communicationsとともに「Tistory」というブログサービスを提供した。その後、2007年7月に、Daum CommunicationsはTistoryの事業権を買収している。

現在同社がサービスしているのは、新たなブログサービスの「TEXTCUBE」(ベータサービス中)と、様々なブログを推薦したり検索したりできるブログ「eolin」だ。

今回、TNCを買収することでGoogle Koreaでは「現地化されたサービスのポートフォリオ構成を、より拡大できる」と述べている。

世界的には注目度、利用度の双方が高いGoogleだが、韓国では現地勢力の「Naver」や「Daum」、「NATE」といった検索ポータルが絶大な力を誇っている。これらのポータルサイトに共通しているのは、ブログをはじめ動画、コミュニティ、専門知識データベースなど、あらゆるコンテンツを網羅しているという点だ。韓国のポータルサイトに行きさえすれば、何でも調べられるというほどの、莫大なコンテンツ量を誇っている。

こうした形態の検索に慣れている韓国ユーザーに対応するため、Google Koreaでもトップページにさまざまなサービスにリンクするアイコンを配置したり、検索結果にブログ検索の結果も追加するなど、あの手この手で対応している。今回、TNCを買収することとなったのも、多様さを求める韓国の好みに合わせるためである。

一方のTNCは、Google Koreaのような大企業に買収されることに対して歓迎の意を示している。TNCの保有する技術などは、Google Korea R&Dセンターで、現地化サービスの開発に役立てられていくことになる。

同社の発表によると「今後は一部のサービスがGoogleのサービスとして統合される可能性もある」ということだ。

今回の買収劇によって、Google Koreaによる強力なサービスが誕生するのか、市場での巻き返しはなるのか、興味深い点が多い。