8月25日、26日の両日、スタンフォード大学のメモリアルオーディトリアムで開催されたHOT CHIPS 20の発表の最後を飾ったのがSunのRockプロセサの発表である。SunのRockプロセサは今年2月のISSCCで発表されたが、ISSCCは回路設計関係の学会であり、プロセサのマイクロアーキテクチャに関しては、あまり、詳細な情報は発表されなかった。ということで、今回の発表が期待されたが、期待に違わず、聞き応えのある発表であった。

SunのRockについて発表するShailender Chaudhry氏

Rockは汎用プロセサ16コアを1チップに集積するプロセサである。このコア数は汎用プロセサでは最大である。65nmプロセスで製造され、チップの諸元は次のように発表された。

マイクロコア数 16
マイクロコアあたりのスレッド数 1 or 2
チップあたりのスレッド数 16 - 32
L1D$ 8×32KB
L1I$ 4×32KB
L2$ 2MB
L3$(オフチップ) 16MB/Rock
ピークI/Oバンド幅 8GB/s
ピークメモリバンド幅 48GB/s
チップ面積 396平方mm
クロック周波数 2.1GHz
ゲート数 5.5Milliom
フリップフロップ数 1.1Million
トランジスタ数 321Milliom
消費電力 250W

搭載コア数は16と、汎用プロセサとしては最大のコア数を搭載しているので、チップ面積は400平方mmに迫り、消費電力は250Wとこれも巨大である。しかし、面積の関係で、2MBしかキャッシュを搭載できていないので、トランジスタ数としては300M強とあまり多くはない。

メモリバンド幅は48GB/sと、IntelのNehalem(3chのDDR3チャネルをもつBloomfield)と比較して2倍近いバンド幅を搭載している。これは、メモリバンド幅が制約になるStream Benchmarkなどでは、チップ当たりでは、2倍の性能を出せるポテンシャルがあることを意味している。しかし、コアあたりでみると3GB/sであり、コア間で共用されるようなデータが少ない場合は、各コアの性能はメモリバンド幅ネックになる可能性がある。

そしてRockの開発状況として、現在、Rock2.0(1回、バグ修正を行った2回目のマスクのチップと考えられる)が実験室でテスト中であり、一般出荷は2009年の後半との見通しが述べられた。