SAN(Storage Area Network)向けのネットワーク装置開発・製造で知られる米Brocade Communications Systemsは7月21日(現地時間)、ネットワーク機器ベンダーの米Foundry Networks買収で合意したと発表した。買収総額は約30億ドルで、そのうちの15億ドルはBank of AmericaとMorgan Stanleyの2銀行からの共同融資で調達する。Brocadeはストレージ・ネットワーキングの分野で業界最大手だが、今回のFoundry買収で企業のバックエンドLANやデータセンター向けソリューションを拡充し、ネットワーク業界最大手の米Cisco Systemsに対抗していく構え。

米カリフォルニア州サンタクララを拠点とするFoundyは1996年創業で、1999年にはNasdaq上場を果たした。スイッチ/ルータなどの企業LAN構築に必要なコンポーネントの開発を行っており、特にそのバックボーンとなるハイエンド製品を得意とする。またギガビットイーサネット・アダプタ、L3スイッチ、L4-7スイッチといった製品を業界に先駆けて投入したことでも知られる。市場シェアではCiscoや米Juniper Networksといった大手には及ばないものの、こうした最新技術を駆使したハイエンド製品の積極投入で認知度を高めてきた。

一方のBrocadeは、ファイバチャネル(Fibre Channel)を使ったSAN向けスイッチ(FCスイッチ)の分野では最大手のベンダーとなる。従来まで同社はローエンドからミッドレンジの製品を得意としていたが、2006年にライバル企業でハイエンド製品を得意とする米McDataを買収したことで製品ラインの拡充と顧客ベースの強化を達成し、業界最大手に躍り出ている。現在、同分野での最大のライバルはCiscoとなる。Ciscoはネットワーク業界のほとんどの分野でトップシェアを誇っているが、ストレージ・ネットワーキングはCiscoがトップを獲得できていない数少ない分野の1つである。BrocadeはFoundry買収でカバー分野をストレージからネットワーク一般まで拡充し、ユーザー企業の求めるソリューションを幅広くフォローしていくのが狙い。これにより、前述のCiscoといったライバルに対抗する。