4つの重要施策を策定

ソニー 社長兼エレクトロニクスCEO 中鉢良治氏

液晶テレビを中核としたエレクトロニクス事業については、別途、中期経営方針に基づく4つの重要施策として「新たな顧客体験の創出」「コアビジネスの強化」「イノベーションの加速」「環境負荷の低減」が提示された。同社社長兼エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏は、これら4つの施策に対し、「量的な拡大だけでなく、質的な変化も実現するためには必要なもの」とする。

"新たな顧客体験の創出"に関しては、これまで進めてきた映像のHD化に加え、ワイヤレス機能などを搭載することで、製品同士を接続する「HD World the next stage」を提唱。「これにより、家庭、そしてアウトドアでHDコンテンツを共有して楽しむ環境が実現できる」(同)と語り、「ネットワークを介して撮る、見る、作る、喋るといった機能が"ビジュアルコミュニケーション"として強固になり、今までにない豊かな感動体験を提供することができる」(同)とした。

HD対応機器をネットワークで接続する

先駆けとして開始されるPSNのビデオサービスは、この取り組みの1つであり、「将来は、このようなサービス、エンタテインメントをテレビ、DVD、モバイル機器でも楽しめるよう、商品開発を進めていく」(同)。

また、高機能化に伴い複雑化する操作や扱い方に対し、「接続性や使い勝手を商品の重要な競争力と位置づけ、そのための取り組みを進めていく」とし、使いやすさの追求を行っていくことを示した。

エレクトロニクス事業における"コアビジネスの強化"としては、現在売上高が1兆円を超す3事業(液晶テレビ、デジタルイメージング、携帯電話)に加え、パソコン、Blu-Ray関連製品、コンポーネント・半導体の各事業を1兆円規模へと拡大させる。グループ全体としては売上高1兆円を超すゲーム事業も含め、7つの1兆円事業を創出することで、「なるべく早い段階での連結売上高10兆円達成を目指す」(同社執行役 EVP兼CFO 大根田伸行氏)とした。

7つの事業で売上高1兆円超えを目指す

"イノベーションの加速"を目指して同社では5月1日付で研究機関を再編、研究開発を「次世代デバイス」「ソフトウェア技術」「先端材料」「知的情報処理」の4領域に分けて行う体制を構築した。また、"環境負荷の低減"に関しては、「GM2010」に基づいた取り組みを進めており、「本社ビルは一般的なビルに比べ、年間で48%の消費電力を削減することに成功している」(中鉢氏)とした。今後は環境負荷の高いテレビの省エネ化を推進していくほか、再生可能なエネルギーの導入、色素増感型太陽電池の開発などを行っていくという。