ノンゲームとネットワークが重要に

ソニー・コンピュータエンタテインメント 社長兼グループCEO 平井一夫氏

ゲームビジネスに関しては、ソニー・コンピュータエンタテインメント 社長兼グループCEOの平井一夫氏が登壇、PlayStation関連ビジネスの今後の方針として「プレイステーション・ポータブル(PSP)およびプレイステーション 3(PS3)がさらなる成長を遂げていくためには、ゲーム以外(ノンゲーム)のコンテンツやサービス、ならびにネットワークが重要になる」(同)とした。

「これら2つの鍵に焦点を当てることで、ゲームのみならず、ノンゲームを含むデジタルコンテンツによるインタラクティブエンタテインメントの世界を構築していきたい」(同)と語り、単一プラットフォームによって、どこでも誰でも同一のクオリティでコンテンツやサービスを楽しむことができることを強調した。

2つの鍵により、インタラクティブエンタテインメントの世界が構築される

「PS3の世界をゲームと同様、ノンゲームのコンテンツやサービスにも広げたい。将来的にはゲーム、ノンゲーム、パッケージ、ネットワークの枠を超えたPS3のエンタテインメントの世界を提供していきたい」(同)としており、ビデオ配信サービスはその先駆けであり、このほか4つの取り組みを進めているという。

1つ目は「PlayStation Home」という仮想空間の提供。PS3ユーザー同士が出会うことができるコミュニティで、友人同士がコミュニケーションを楽しんだり、ゲームを起動したり、そのゲームオリジナルのコンテンツを手にすることが可能だ。このサービスは、秋のオープンβサービスの提供開始が予定されている。

「PlayStation Home」のスクリーンショット

2つ目は「ゲーム内動的広告」。ゲーム中のビルボードなどに広告を表示する機能だが、Cellにより、ユーザーの目に触れた広告の総面積と総秒数を自動的に計算し、それを広告料に換算する仕組み。「ゲーム内広告は大きなポテンシャルを持った分野。この取り組みを進めることで、今後のPS3の新たなビジネスモデルに育てて行きたい」(同)と期待を覗かせる。

ゲーム内動的広告により、ゲーム中に広告が表示されるようになる

3つ目は「Life with PlayStation」という時間と場所を軸としてコンテンツを表示するアプリケーション。第1弾として現在、地球上で起こっていることを表示するコンテンツが提供される。これにより、世界中のヘッドラインニュースや天気といった情報をリアルタイムで見ることができるようになる。「朝起きてテレビのスイッチを入れるのと同じように、PS3のスイッチを入れて世界のニュースを知り、旅行先の天気を確認する。PS3を使った新しいライフスタイルを提案するのが、このサービス」(同)とし、「将来的には、過去に撮りためた動画や写真を、それらが記録された場所別に時系列で保存し、家族や友人と楽しむ」(同)ことが可能になる機能も搭載される予定だという。

一方、PSPについても、GPSやワンセグ、カメラ、Skypeなどのノンゲームに向けた取り組みを進めているとし、「2008年はネットワークへの対応を加速していく」(同)とした。具体的には、プレイステーションストアにPSPから直接アクセスすることが可能になるほか、ビデオ配信サービスもPS3のHDDからチェックアウトすることで、PSP上で楽しむことが可能となるという。

PSPでもノンゲーム化が進む

なお、ゲーム事業の黒字化に対しては、コストダウン施策としてCellならびにRSXの微細化の推進、および部品点数の削減を行っていくという。すでにCellは2007年の年末商戦に投入した機種より65nmプロセスへ移行しているほか、RSXについても65nmプロセス採用チップの量産を開始しており、秋以降に順次搭載していく計画とした。