米Googleの共同設立者であるLarry Page氏がワシントンDCを訪れ、New America Foundationにおいて、ホワイトスペースをWi-Fiに利用する構想「Wi-Fi on Steroids」について語った。同氏は米議会議員や連邦通信委員会(FCC)関係者との会談も予定している。

米国の700MHz帯オークションで、Cブロックでのオープンアクセスを認めさせながらも競り負けたGoogleは、その直後にホワイトスペースと呼ばれるテレビ放送向けの免許対象外の周波数帯を、無線ブロードバンド接続に利用する考えをFCCに提案していた。

「世界中の情報を整理する」というGoogleのミッションを推進させる土台となるのはインターネットにアクセスするユーザーである。そのため同社はネットユーザーの拡大と接続環境の改善に大きな関心を示している。ところが、そのGoogleが拠点とする米国のブロードバンド普及率は、3位からじりじりと順位を下げて現在は16位だ。そのような状況を覆し、現在ブロードバンド接続サービスが行き届いていない地域を含めて全米をサービス対象地域とするために、少ないベースステーションで広範な地域をカバーできるホワイトスペースの活用を訴えた。

ホワイトスペースのWi-Fi利用については、無線マイク・ユーザーやスポーツリーグなどが電波干渉を懸念しているが、そもそも無線マイク自体が、これまでテレビとの干渉問題を起こさずに利用されてきた。またGoogleは周波数帯検出技術にジオロケーションやビーコン技術を組み合わせた保護プランを提案しており、これらにより高い水準で干渉を防げると確信しているという。

デバイス試験に関しては、関係機関の対応に不満をあらわにした。現行のFCCのプロセスでは、デバイスの信頼性が認定されるまでコンシューマへの販売が認められず、その議論が延々と続けられることになる。ホワイトスペースを利用したインターネットアクセスに関してPage氏はすでに十分な信頼性に達していると考えており、あとはFCCが決断する"時"を待つだけだという。その時が来れば、多くの企業が革新的なデバイスの開発に多大な投資を行い、それが干渉防止をさらに改善させると指摘した。

米国では非効率的な分配方法よって、貴重な周波数帯の利用にムダが見られる……その現状に光をあてるのもGoogleがホワイトスペース利用の提案に力を入れる理由の1つだという。周波数帯が、それらを必要とするデバイスやコンシューマにいき渡るように、Googleの広告ビジネスで行われているような、リアルタイム・ベースのオークションの導入を政府に提案した。特に国防総省などの政府機関が周波数帯を抱え込まずに、未使用の周波数帯をオークションすれば、周波数帯が有効活用されるだけではなく、政府収入の増加にもつながるとした。