米ロサンゼルスで開催されている、ディスプレイ学会および展示会の「SID(Society for Information Display)」で、Samsung電子は「業界初」の120Hz駆動の82インチディスプレイなど、多様な製品を公開したことで話題を提供している。
UDクラスの82インチディスプレイ開発
Samsung電子は18日、120Hz駆動のUD(Ultra Definition)クラスの82インチテレビ用LCDパネルを公開した。同社ではこうしたパネルの開発は「業界初」と述べている。
UDクラスの解像度は、現時点で最高クラスであるフルHD(1,920×1,080i、200万画素)よりも4倍程度鮮明な3,840×2,160iで、400万画素の画質を提供するものだ。
このほか今回開発されたパネルでは、LEDバックライトを適用。一般のCCFL(冷陰極蛍光ランプ)バックライトでは72%である色材表現を、2倍以上の150%まで改善しているのが特徴だ。
このパネルの使い道の1つとして、SIDでSamsung電子が提案しているのが「電子黒板(e-Board)」としての用途だ。「マルチタッチスクリーンを適用した」(同社)といい、同様のスクリーンとしては最大だという。また同社では、「公共の場や商業用施設において、有用な情報を伝えるのに最適のディスプレイである」とも述べている。
デジタル放送が開始し、大型テレビが普及すれば、こうしたパネルの需要も増加することが見込まれるが、現時点で家庭用にしてはかなり大きいため、業務用としての利用法を提案しているようだ。
3Dディスプレイや電子ペーパーなども公開
このほかSamsung電子では、今回の展示会で専用メガネを別途かけなくても3D映像が視聴可能な52インチの3Dディスプレイや、カーボン・ナノ・チューブを積極利用することで、既存のものより柔軟に曲がる2.3インチの「電子ペーパー」なども公開している。
さらに2つの駆動チップのみで駆動する、40インチのフルHDテレビパネルも展示した。通常40インチのフルHDパネルには9個のチップが必要になるということだが、今回の製品により「原価節減効果と、LCDの普及効果が見込める」(Samsung電子)と期待を込めている。
同社では15日、次世代の駆動方式である「Blue Phase Mode」のLCDパネルを発表したばかり。今回の展示会では「業界初」の技術や付加価値の高さで、同社のディスプレイを積極アピールしているようだ。
また16日には韓国政府の知識経済部が、これまで実現していなかったSamsung電子とLG電子間における、パネル部品の相互購入を推進する計画を発表している。これによる波及効果もある程度見込めることから、今後韓国のディスプレイ産業の発展ぶりに注目が集まっている。