最後、電子辞書の方向性の3つ目はユーザカスタマイズコンテンツです。ユーザが自分で作成する英語のコンテンツで英単語を覚えるための支援機能などを提供するものです。

SR-S9000は「ユーザ辞書クリエーター」と「ドリルクリエーター」というものがあり、ユーザが自分専用の辞書を作ったり、選択式のドリル問題を作成できるソフトウェアがパソコンで利用でき、電子辞書に取り込めるようになっています。期待が大きかったのですが……ざんねん!という結果でした。どちらのソフトウェアも素晴らしい独自辞書&ドリルを作ることができますが、作る手間がかかりすぎるので、たぶん使えないだろうと思うのです。おそらくセイコーインスツルさんが電子辞書のコンテンツを作成する際に使用するツールと同程度の機能があるので、一般ユーザには設定作業が多すぎます。そもそも、大学生やビジネスパーソンにとってユーザ辞書を作るニーズがあるのか疑問です。ドリルクリエーターに関しても選択問題の選択肢を作ることに手間がかかるわりに、作って誰が使うの?という根源的な疑問が湧いてくるのです。これらの機能はおまけの位置づけのようですので今後の発展に期待したいです。

ユーザ辞書作成画面(左)およびドリル作成画面(右)。機能としてはすばらしいのだが、ちょっと手間がかかりすぎ!?

一般の英語学習者に必要な機能とはシンプルな単語暗記カード機能です。つまり英単語と日本語が裏と表に書いてあり、めくって暗記を確認するというアレです。コクヨが「メモリボ」という専用機械を販売していますが、ぜひあれを電子辞書で実現してほしいです。Excelで英語の列と日本語の列と英語の例文の列の3行を入力とし、電子辞書側で正解したものをチェックできるような簡単なものでいいですからー。セイコーインスツルさん、お願いしますよ……とはいえ、SR-S9000にはテキストビューワ機能があるので、覚えたい単語と日本語をテキストファイルにして電子辞書に取り込んで学習することは十分可能ですので、この方式でオリジナルの英単語帳を作ってみるものいいかもしれません。

まとめると、SR-S9000は、TOEICを受けるような方、つまりは大学生やビジネスパーソンにはとてもオススメな機種かと思います。

執筆者紹介

本多義則(HONDA Yoshinori)
趣味と実益を兼ねて英語を勉強している技術系会社員。趣味が高じて2004年に英語学習本「伸ばしたい!英語力」(技術評論社)を出版。現在まぐまぐから「NHK実践ビジネス英語を骨までしゃぶるメルマガ」を絶賛執筆中! これまでに英検1級、TOEIC955点、通訳案内士(英語)を取得。